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「子どもたちに同胞社会の素晴らしさを」/第12回ヘバラギ学園

2023年06月17日 09:00 民族教育

主催者の想い

二日目、キャンプファイヤーを楽しんだ児童たち(盧琴順撮影)

9日から11日にかけて静岡県内で行われた第12回ヘバラギ学園。愛知中高学区内の6校(静岡初中、長野初中、岐阜初中、四日市初中、東春初級、名古屋初級)から、初級部の児童88人が集い大盛況の中、幕を閉じた。ヘバラギ学園が静岡県で開催されるのは今回が初めてで、静岡県青商会と静岡初中はイベント成功に向け、半年間に渡り準備を進めてきた。

地域の一大イベント

愛知朝高への進学率上昇を1番の目的としたこの取り組みは、児童数の少ない学校が多い中で、学区内のすべての児童が集まり大人数で交流を深め、集団生活を送る貴重な機会となっている。

県青商会の全朋廣会長(39)によると県青商会と静岡初中はこの間、イベントの企画と運営を協力しながら行なってきた。特に青商会は、最終日に行われた焼肉会の宣伝などの動員事業に力を入れ、朴京吾幹事長(37)を中心に、静岡初中、中部ブロックの青商会と連携を図りながら協議を続けてきた。

料理クラブで黒はんぺん作りを体験する児童たち(盧撮影)

「(学区内の)あれだけ多くの児童たちを一つの場に集められるのはヘバラギ学園だけ。すべての学校が簡単に集まれる環境ではない中で、青商会が直に携わって児童たちが顔を合わせる機会をつくることは意義深い」と語る全朋廣会長。「児童らが大人になったときにヘバラギ学園を思い出し、今度はかれらが次世代のために力を尽くしてくれたら、という思いがある」と力を込めた。

学生統率事務局長として企画の考案などを担った静岡初中の趙召栄教員(25)は、今回中部ブロックの朝鮮学校に通う児童らをすべて網羅できたことは意義深いと話す。「ヘバラギ学園は、児童たち同士の交流だけでなく、かれらの進路選択においても重要な気づきにつながる場。今回を機に、年間を通した他校との交流に取り組んでいきたい」と意気込んだ。

愛知第7初級、豊橋初級の教員を経て、現在は名古屋初級で教務主任を務める崔貴志教員(50)は、第1回ヘバラギ学園が開催された当時から携わってきた。ヘバラギ学園は各学校の児童らはもちろん、開催地の同胞たちにとっても重要な行事であると話す崔教員。「たくさんの同胞が開催準備に関わることで地域の一大イベントとなる。イベントを通じて同胞たちが集まり、学校の実情を直接知る貴重な機会だ」。

現在は中級部を対象にした同様の行事開催も検討されているという。崔教員は「児童たちが持続的に交流できる場を設け、一人でも多くの児童、生徒らが朝高に行きたいという気持ちを抱くようにしたい。ヘバラギ学園をはじめ、民族教育の魅力を再発見できる取り組みを続けていく。」とした。

 開催の意義、次世代が継承

歌を披露する児童たち(盧撮影)

最終日となった11日、静岡初中で文化公演会が行われた。児童たちはこの間、同学年児童らで構成されるチームによる、対抗公演のために歌の練習を重ねてきた。児童たちは、チーム別に意見を出し合いながらつくった独自のふりつけに合わせて歌を歌い、観客席では拍手と喝采が飛び交った。

チーム対抗公演の結果が発表された。審査を務めた青商会員たちの票を最も獲得したのは、4年生のチーム。児童たちは少し驚いた様子を見せながらも、ガッツポーズで、喜びをあらわした。

今回のヘバラギ学園で学生委員長を務めた李翔宇さん(静岡初中、6年生)は、最後のヘバラギ学園を悔いなく楽しむことができたと話す。李さんは「歌の練習では、たくさんのトンムたちと意見を出し合いながらふりつけを決めるのが新鮮で楽しかった」と話した。

新報写真クラブで一緒に写真を撮る児童たち(盧撮影)

田流星さん(名古屋初中級、5年生)は朝鮮新報記者による写真講座を体験する「新報写真クラブ」に参加して「記者がどのように写真を撮っているのか知ることができた」という。また「カヌー体験では、トンムたちと気持ちを1つに出来た」と語った。

閔世璃 (22、豊橋初級出身)さんは初級部6年生の時に第1回ヘバラギ学園に参加し、今回名古屋初級の教員として児童らを率いた。参加当時、同級生が自分を含め3人しかいなかったという閔さんは「ヘバラギ学園で同年代のトンムたちがたくさんいることを知った。そのとき出会ったトンムたちは、今でも連絡を取り合う仲だ」と話す。

また、閔さんは「民族の心をつなぐためにたくさんの人々が力を出し合い、ただひたすら児童たちのために尽力することは、世界的にもまれなことだと思う。子どもたちに、そのような同胞社会の素晴らしさをもっと教えたい」と語る。

そのうえで「今後も、かれらの笑顔を守っていきたい。そして、ヘバラギ学園が長年続いていることの意義を私たち若い世代が継承し、繋いでいきたい」と話した。

児童たちと焼肉を食べる閔世璃さん(左端)

(朴忠信)

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