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〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 56〉おかしく、重く、神々しい「オモニ」/小田実③

2023年06月10日 08:00 寄稿

『オモニ太平記』(講談社文芸文庫)

小田実(おだまこと)には朝鮮、在日朝鮮人を描いた小説作品が数編あるが、かれが「人生の同行者」と呼んだ在日朝鮮人・玄順恵氏との結婚から、その母親=オモニとの、面白くも、重い「つきあい」を描いた「オモニ太平記」(1990)をとりあげよう。済州島の海女だったが「キミガヨ丸」で渡日し、異国暮らしの辛苦のなか7人の娘を育てた「オモニ」の人物像と家族模様を描いた、エッセーとも私小説ともつかない作品であるが、深い人間洞察の眼で在日1世を描いたすぐれた文学作品である。

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