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台湾最後の性奴隷制被害者が死去/問われる日本の責任

2023年05月31日 10:00 時事

イワル・タナハさん(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動HPより)

台湾で最後の日本軍性奴隷制サバイバーだったイワル・タナハ(中国名:蔡芳美)さんが510日、死去した。享年92。イワルさんの死去に関しては、台湾だけでなく、さまざまな国のメディアが報道。日本の加害責任を追及し、日本政府の問題解決に取り組む姿勢を厳しく問うている。

193193日にタロコ族の村に生まれたイワルさんは、44年に村近くの日本軍部隊で雑用などをするようにと日本人巡査に言われ、他の女性4人と働きに出た。しかし日本軍部隊では、倉庫になっていた山の洞窟の中で性奴隷としての苦しみを味わった。日本敗戦後の4510月に解放され、同12月にフィリピンから帰った婚約者と結婚。日本軍部隊でのことを夫に話せず苦しんだが、夫が癌を患った92年にようやく過去のことを打ち明けられたという。

イワルさんは、997月に台湾の日本軍性奴隷制サバイバー8人と共に日本政府に賠償と謝罪を求めた裁判(20052月に原告敗訴が確定)を起こし、その後何度も訪日。2000年には日本軍性奴隷制を裁いた女性国際戦犯法廷(東京)にも参加した。イワルさんは、台湾に日本軍性奴隷制被害者のホットラインが1992年に設置されて以降、被害者に特定された59人のうちの1人で、最年少だった。

台湾の日本軍性奴隷制被害者を長年サポートしてきた台北市婦女救援基金会は、イワルさんの死去に際したコメントで、「台湾人の日本軍性奴隷制被害者についての真相を台湾の学習指導要領や歴史館、歴史書などに記載するよう提唱し続け、この歴史がイワルさんの死によって消えないようにしていく」と述べ、日本政府に対して台湾人被害者とその家族への謝罪、賠償を引き続き求めていくとした。

18年に台湾で初めて設置された少女像(台南市中西区、2023年撮影)

台湾の活動家によると、台湾における日本軍性奴隷制被害者の数は約2千人にのぼるという。

台湾では日本軍性奴隷制問題を広く知らせることを目的に、16年に博物館「阿マ(おばあちゃん)の家 平和と女性人権館」(台北市大同区)が開設、18年には台湾で初めて少女像(写真、台南市中西区)が設置された。

一方、朝鮮半島では約20万人の女性が日本軍性奴隷制の被害を受けたとされている。朝鮮では19年時点で日本軍性奴隷制被害者が存命していることが確認されており、南朝鮮では政府に登録されている被害者240人のうち9人が生存している。

少女像

台南市中西区にある少女像の横には、台湾における日本軍性奴隷制被害に関する説明板が設置されている(2023年撮影)

(李永徳)

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