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“明るい明日を展望できた一日”/2大フェスタ同時開催

2023年05月30日 17:48 交流

フェスタ会場にはチーバくんも訪れ、人気を博した

21日に千葉初中で開催されたフレンドシップフェスタ(以下、フェスタ)には千葉朝鮮学校を支える県民ネットワーク(千葉ハッキョの会)を筆頭に、多くの日本市民が訪れた。同会の池田登美子さん(82)は「いつ訪れても、仲が良く素直な児童・生徒たち姿を目の当たりにする」と目を細める。2014年の同会結成以来、欠かさずフェスタに参加してきた池田さんは「今回は特に若い人が多い印象だった」と語り、盛況の中で輝く次世代を温かく見守っていた。

一方、近隣施設ではフェスタの恒例イベントとなったフットサル大会が開催された。大会には朝青、青商会の各チームと日本の一般チームをはじめとした全12チームが出場。千葉初中の中級部サッカー部が成人チームたちを抑えて優勝した。

正午を過ぎると試合を終えた各チームが、晴天の下で七輪を囲んでいた。その中に、千葉初中に次いで2位となった日本の社会人クラブ西の谷FCのメンバーたちもいた。「千葉初中がほんとに強かった」と笑顔で振り返る西村直人さん(39)。チームの仲間たちと焼肉を堪能していた西村さんは「フットサル大会に、もちろん全力を尽くしたが、焼肉のほうがメインだったのかもしれない」と微笑み、サッカーを通じた朝・日交流の場を和気あいあいと楽しんでいた。

 

堂々と生きられるように

近隣施設で開催されたフットサル大会のようす

今回のフェスタは千葉県青商会と朝青千葉県本部が共催した。共同実行委員長をつとめた朝青本部の金正泰委員長(30)は「12月頃から準備を始めた。支部ごとに役割を分担し、それを各班が十分に遂行してくれたおかげで開催することができた」と、準備期間を振り返る。朝青員たちが積極的に携わる根っこには「強い愛校心がある」と金さん。「ウリハッキョのために何かしようとなれば、どんなことでも熱心に手伝ってくれる。今後さらに多くの青年たちが朝青支部や班に集い、地域同胞社会を青年たちの力で盛り上げていきたい」と抱負を語った。

千葉初中オモニ会の趙光善会長(53)は「1カ月前から、宣伝や広報などの準備を進めた。4年ぶりの開催のため経験のないオモニたちもいたが、積極的に準備を手伝ってくれてありがたかった」と語る。同校オモニ会は「塵も積もれば山となる。一人の小さな努力が大きな力となる!」というスローガンのもと、廃品回収や校舎の掃除、キムチ販売などを通じた学校サポートを行っている。この日も児童・生徒たちが使わなくなった制服が販売された。「ウリハッキョ、先生、児童・生徒たちを守るためにオモニ会活動をこれからも活発に続けていきたい」と意気込んだ。

朝青と共にフェスタを開催した千葉県青商会の趙来旺会長(43、共同実行委員長)は「今回のフェスタは利益を追求するよりも、来場者に最大の満足を提供することが目標だった。実際に学校に来て、在日朝鮮人の存在を理解してもらわないと何も始まらない」と述べ、今回掲げた「心は一つ!食べて・遊んで・楽しんで!国際交流!」というテーマには「朝鮮人が朝鮮人として堂々と生きられる当たり前の世の中にしたいという思いが込められている」と説明した。

4年ぶり10回目となる同フェスタを準備する過程は「難しいことしかなかった」と吐露する趙さん。北九州出身のかれにとって「朝鮮学校という共通項だけで理解してくれて、温かく迎えてくれた」千葉の同胞社会に対する感謝の念が活動を後押ししているという。この間、「フェスタ開催の意義について話し合い、会員の気持ちをひとつにしたうえで、必死に準備してきた。共催した朝青との連携も密に行うことで、朝大生など若手の力も借りることができた」と述べながら、これからも青商会として朝・日交流、学校支援のために尽力することを誓った。

「溢れるほどの人が学校に訪れたのはひさしぶりだ」と話すのは長年同校の教員を務め、今年度、校長に就任した康静恵さん(61)。康さんは「児童・生徒たちには多くの同胞や支援者たちの愛によって学校が支えられていると教えてきた」と、話しながら「愛をもらうだけではなく返せる人になろうと伝えたかつての教え子たちが、今日も朝から準備に駆けつけてくれた」という。康さんは閉会後も賑わう会場を眺めながら「次世代たちの活躍を見て、明るい未来を展望できる一日となった」と話した。

 

小さな輪を確実に

オリニフェスタにて工作を楽しむ子どもたち

校舎2階で開催されたオリニフェスタは、学齢前・学齢期の児童が朝鮮の文化やことばなど「ウリ」を体験することでその大切さや、民族教育の魅力を感じてもらおうと企画された。西東京第2初中出身の姜有華さん(35)はオリニフェスタにスタッフとして初めて携わった。「はじめは不安もあったが、オリニフェスタの実行委員長が背中を押してくれた。準備期間に妊娠し、出産したが、オモニたちは母子の健康を最優先にと気遣ってくれた」と姜さん。一方で「コロナ禍でも同胞社会特有の繋がりを取り戻し、その同胞社会の温もりを感じることができるイベントにしたかった」と語り「子どもへの愛情と民族への熱い気持ちを体現したイベントにできた」と手ごたえを感じていた。

実行委員長を務めた女性同盟千葉支部子育て支援部の張恵珠さん(40)は約1年に及ぶ準備期間について「今回は東京第1初中の学区である東葛支部も含めた規模で宣伝広報活動を行った。保護者はどうしても育児に没頭してしまい、周りが見えなくなってしまうが、そういう大変な時こそ私たちが横にいるということを伝え、同胞コミュニティーの中で子どもを育てられるという安心を感じてもらいたかった」と語る。自身もオリニフェスタを通してその温かさを実感した一人だという張さんは「今回のフェスタを機に得た同胞たちの繋がりを大切にして、小さな輪を少しずつ確実に大きくしていきたい」と決意を語った。

(高晟州)

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