〈関東大震災朝鮮人虐殺100年〉国会で質疑
2023年05月30日 17:38 社会史実認めない、立場あらわに
関東大震災時の朝鮮人虐殺を巡り、5月23日の参議院内閣委員会で、立憲民主党の杉尾秀哉議員が質疑を行った。2015年以降、計8回にわたり提出された国会議員による質問主意書では、当時の政府や軍、警察などが主導した朝鮮人虐殺についての事実認定とその後の調査、当時の対応に関する現政府の認識などが繰り返し問題提起されたが、政府はそのたびに「事実関係を把握できる記録が見当たらないため、お答えは困難」との答弁を重ね、真相調査についても「考えていない」(2018年4月6日、参議院院第196回国会)との見解を示してきた。
この日の質疑では、まず、日本の中学・高校の教科書で、関東大震災朝鮮人虐殺に関する記述があるもの、中でも軍や警察の関与が記されたものが、どれほどあるのかを杉尾議員が質問。文科省大臣官房審議官の答弁によれば、現在、中学社会・歴史的分野の8点中7点(うち4点が関与記載)、高校歴史総合の12点中9点(うち4点が関与記載)、高校日本史探究の7点中7点(うち7点が関与記載)に虐殺の事実が記されているという。杉尾議員は、こうしたほとんどの教科書に記され、日弁連の対日本政府勧告(2003)や内閣府中央防災会議の専門調査報告書(2008)にも記された100年前の朝鮮人虐殺について、改めて政府の認識を問うた。