民族、学校、同胞愛でつながるサムサラン会/京都・西陣
2023年05月20日 09:00 暮らし・活動“来月また会いましょう”
3つの愛を掲げて
「最近どうですか?」「ぼちぼちですよ。今日だけが楽しみやから」
13日夕方、京都市中京区のある飲食店から、たいそうにぎやかな声が聞こえてきた。声の主たちは、地域の60歳以上の同胞男性らによる親睦会、サムサラン会のメンバーたちだ。この日は月に1度の食事を兼ねた「サムサラン会第12期第8回会合」が行われていた。
「会合」と聞くと、なにか堅苦しい集まりのように聞こえるが、実際はそれとは正反対。参加者たちの言葉を借りるなら、「よく食べ、よく飲み、よく喋る。そして大きな声でよく笑う」、居心地の良さが際立つ親睦会だ。
京都の伝統産業、西陣織発祥の地として有名な西陣は、京都市北西部の上京区から北区にわたる地域。西陣織産業はとくに、在日朝鮮人が従事してきた代表的な産業である一方、この一帯では、朝鮮半島から伝わる歴史や文化が街の至るところで確認できる。
朝鮮の息吹を感じられるここ西陣で、2010年12月、在日朝鮮人2世の男性たちの集まりとして発足したサムサラン会は、今年で13年目を迎えた。会の名称「サムサラン」とは、「3つの愛」を意味する朝鮮語で、「民族愛」「同胞愛」「学校愛」を掲げる同会には現在、60代前半から80代後半までの同胞男性が参加する。「会員相互の親睦をはかり、同時に西陣ウリ同胞社会の活性化と民族教育の発展に寄与すること」(会則より)を目的に、「何歳になっても同胞コミュニティーの力になることをしたいとはじめた集い」(金星圭会長)だ。
集まりは毎月決まって18時半から20時半まで。事務局のメンバーらによれば、12年間同様のサイクルで進めてきたという。会長のあいさつと乾杯の音頭で始まったこの日も、自身の健康や家族の近況といった身の回りの話から、社会のトレンドや世界情勢などの世間話まで話題は尽きず、あっという間の2時間だった。
後世に残す集まりに
結成当初から会長を務める金星圭さん(88)は、「この間、少なくない会員たちが亡くなった。サムサラン会は、隣の同胞がまだ元気で生きていることを確認し、幸せなことがあれば共に喜び、不幸があれば共に悲しむ、同胞たちが末永くつながり合う場所の一つだと思っている」と語る。
かつて京都第3初級があったこの地で築いてきた同胞ネットワークの重要性を語る金さんは、