歴史伝え、共生めざす/大阪コリアタウン歴史資料館が開館
2023年05月15日 09:34 文化・歴史戦前から在日朝鮮人が多く住む大阪市生野区のコリアタウンに、同胞の歴史を保存し伝える、大阪コリアタウン歴史資料館(一般社団法人大阪コリアタウン歴史資料館)がオープンした。4月29日に開館式が行われ、総聯大阪府本部の夫永旭委員長をはじめとする同胞、日本市民ら約130人が集った。
開館を記念して地元のサムルノリチームと金剛山歌劇団の河栄守さん(功勲俳優)らが農楽を披露し、関係者らがテープカットを行った。その後、厄を払い、幸運を呼び寄せるための朝鮮の儀式である告祀(朝鮮式の厄払い)が執り行われた。
記念レセプションではまず、理事長である在日朝鮮人3世の洪性翊さんがあいさつ。洪氏は、今や観光客が多く集うコリアタウンに在日朝鮮人の歴史を語る資料館を作ることが亡き父の願いであったとしながら「歴史をしっかり知り、そのうえで朝鮮半島と日本の友好的関係を築いていきたい」と強調した。
つづいてあいさつした館長の高正子さんは「私たちの祖父母がこの地へ渡り経験した葛藤や(日本市民らとの)協力関係の息吹を、少しでも広めていけたら。『共生』のモデルとして歴史に刻まれることを切に願う」とした。
知っておくべき歴史
資料館には約2千冊の書籍と800点以上の展示物が設置されている。植民地時代に朝鮮人がこの地に移り住んだ背景や、差別がまん延する中でも生き抜いた朝鮮人の姿、在日朝鮮人と日本市民らとの共生について描かれている。