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〈ものがたりの中の女性たち67〉私は食事に行きます―宰相の亡き母

2023年05月01日 14:33 文化・歴史

あらすじ

昔、名のある宰相が夢で母と再会する。馬で宮中に出仕する途中、把子(パジャ)橋の前で、亡くなったはずの母が歩いて来るのだ。驚いた宰相は急いで馬から降りる。「母上、輿にも乗らずなぜおひとりで歩いておられるのですか」

すると母は、「わたしは死者です。ですから輿には乗れないのです」と答える。どこに行こうというのか聞くと、龍山江の上流に住む使用人の実家に行くと言う。その家で神祀(굿(クッ)※巫人が神霊を迎え歓待し、歓送する過程で構成される巫俗儀礼)が行われるので、食事に行くと。母のその言葉に宰相は衝撃を受ける。「我が家では忌日の祭事はもちろん季節の祭事も行い、一日と十五日、節にも茶禮を行うのに、母上はなぜ神祀(굿(クッ))をする使用人の家で歆饗(흠향※巫人に憑依した神霊が供物を飲み食いすること)をするというのですか」

新年の安泰を祈る神祀굿(クッ)

すると母は神祀(굿(クッ))の重要さを説くと、忽然と消えてしまう。

宰相はここで目が覚め、母にすまない気持ちでいっぱいになる。彼は婢を呼ぶと、今すぐ龍山江に行き使用人を連れてくるよう命じる。

するとやはり使用人の家では盛大に神祀が行われ、巫女には宰相宅の大奥様の神霊が降りる。母が憑依した巫女は、あの使用人はうちから来た婢だと酒と食事を与え、今日来るとき橋のたもとで息子に会ったと言う。

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