〈本の紹介〉太陽の子/三浦英之
2023年04月03日 09:00 文化・歴史斧は忘れる。木は忘れない。
戦前の他国侵略と植民地支配、太平洋戦争での非人間的な愚行、そして現在も問われ続けている戦後責任。近現代史で日本が残した負荷は今や国際的に知れ渡っている。
しかし、戦後日本が隠した「秘密」についてはどれほどの人が認知しているだろうか。経済成長の裏で置き去りにされたアフリカの採掘工場群、そして子どもたち。本書は、日本の経済成長に伴い行われたある計画と、それに翻弄された子どもたちを追ったルポルタージュ。
1960年代後半、日本を代表する鉱物資源企業「日本鉱山」はアフリカ南部のコンゴ民主共和国に巨大な銅鉱山を開設する計画を打ち出した。「日本鉱山」は「日立製鉄所」や「日産自動車のいわゆる父祖企業だ。
20~40代の多数の日本人男性がコンゴに赴任した。朝鮮戦争特需などを経て続いた「いざなぎ景気」で鉱業は軌道に乗り、周囲には学校や病院が次々と立ち並んだ。そして男性たちは現地の女性との子どもを産み、家庭を築いた。
かれらとの子を産んだコンゴ人女性らは当時、