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新校舎建設が始動、川崎初級で大感謝祭/1350人の熱気

2023年04月29日 11:54 暮らし・活動

地域で守る、かけがえのない場所

今夏、新校舎の建設が始まる川崎初級で4月23日、「KAWASAKI大感謝祭2023」(主催=同校、後援=川崎市、公益財団法人川崎市国際交流会)が開催され、同校の姜珠淑校長、新校舎建設委員会の石昌鎮委員長をはじめとする同胞、近隣の日本市民など1,350人でにぎわった。

旧校舎最後の対外イベントとして、これまで同校を支えてくれた地域の人々へ感謝を伝え、新校舎建設事業のはじまりを内外に知らせる目的で企画された大感謝祭。今回の催しは、多いときで2千人が集まる同校での国際交流イベント「KAWASAKI大交流祭」の名を継承し、「地域の同胞や日本の友人たちへの感謝」をテーマに「大感謝祭」の名を銘打った。

会場には、移動動物園や遊戯コーナー、チョゴリの体験試着コーナー、フリーマーケットなどのブースが設けられたほか、2004年から大交流祭を主管してきた地域青商会、同校アボジ会やオモニ会、支援団体などが担当する充実した飲食ブースがずらりと並んだ。また校舎2階には、学校の沿革を振り返る映像や歴代の卒業生らを映したアルバムが展示され、来場者たちは、屋外スペースのみならず校内にも足を運び、現校舎との別れを惜しんでいた。

大感謝祭のメインとなる屋外ステージのオープニングを飾ったのは、同校の園児・児童たちによる合唱。元気よく歌う子どもたちの姿に大きな拍手と歓声が飛び交い、会場は一気に盛り上がりをみせた。

その後もステージでは、和太鼓の演奏、漫才コンビ「フランポネ」と川崎初級児童らによる漫才、地域のご当地アイドルやアーティストによるライブ、神奈川中高舞踊部による朝鮮舞踊など目白押しの演目が続き、クライマックスでは「統一列車」の歌に合わせ、人々が場内を駆け巡った。

姜校長は、フィナーレのあいさつで、来場者らへ謝意を伝えながら「大島小学校の教室で開校し、桜本の地に移転したわが校は、今年で学校創立77周年を迎える。この度、53年の歴史をもつ現校舎を建て替え、新築の校舎を建てることになった」と述べた。そして「これからも地域の在日同胞、日本の方々と手を取り合い、民族教育がこの川崎の地で100年続くように、頑張っていきたい」と、新校舎建設に向けた決意を語った。

節目のイベント

幼稚班オモニ責任者を務める尹愛淑さん(32)は6年前、結婚を機に兵庫から川崎に住むことになった。地元を離れて暮らすことへの不安も少なくないなか、「いつもアットホームな雰囲気で、団結力が強い」オモニたちのつながりに支えられた。イベント当日を迎え、「大規模なイベントに携わるのが初の経験で不安もあったが、幼稚班保護者たちやオモニ会の方たちの助けがあって今日を迎えることができた」と安堵の笑みを浮かべる尹さん。準備のために奔走した日々を振りかえりながら「日常とばかり思っていた同胞のイベントのありがたさを切実に感じた」と、感想を述べた。

同校への給食支援などを行う市民団体「トングラミ」会員の小林一利さん(74)さんは「元々、ドキュメンタリー映画を通じて社会問題に関心があった」と言う。定年退職を機に自分にできることを探す中で日本政府による差別政策の矛先が子どもたちに向けられていることを知った小林さん。それが朝鮮学校支援の契機だった。小林さんら「トングラミ」のメンバーたちは感謝祭でお手製の牛すじ煮込みを販売した。「支援活動で得た経験の中でいちばんよかったことは、現場の生の声を聴けることだ」(小林さん)。

「たくさんの思い出が詰まっているし何よりも良い先生たちと出会えたかけがえのない場所だ」

そう話すのは同校中級部を卒業した金貴龍さん(47)。金さんは「(新校舎建設に伴い)校舎が解体されると聞いて寂しい気持ちもあったが、子どもたちにより良い教育環境を提供できる嬉しさの方が大きい」と話す。なぜなら、金さんは本職である配管業を生かして学校の修繕を手伝う過程で、日に日に老朽化していく校舎を直に見てきたからだという。新校舎建設への節目となる感謝祭をむかえ、「新しくなった校舎で児童たちが不自由なく学び、学校生活を存分に楽しんでほしい」と期待を膨らませた。

現校舎は今年6月に解体され、夏に着工を向かえる。新校舎は来年の夏ごろまでに完工予定。同校に通う児童・園児らは、校舎建設中、横浜市内の施設を仮校舎に学校生活を送る。

(韓賢珠、高晟州)

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