朝鮮人遺骨問題、厚労相が参院厚労委で答弁
2023年04月27日 09:17 社会を知る~今週のnewsトピック~日本社会や在日同胞を取り巻くニューストピックを週に一度、紹介する。※次回の配信は5月10日(水)となります。
朝鮮人遺骨問題、厚労相が参院厚労委で答弁
1945年8月、朝鮮人労働者とその家族ら約3,700人を乗せた旧海軍輸送船「浮島丸」が、舞鶴湾下佐波賀沖で突如、爆沈した「浮島丸」事件。事件発生から78年を迎える今日まで、船の出港理由や爆発原因、乗船者数、死亡者数など詳細は不明のままで、日本政府は一切の真相調査を行っていない。この「浮島丸」事件と関連し、3月30日に行われた参議院厚生労働委員会で、日本共産党の倉林明子議員が質疑を行った。
倉林参議の質疑では、「(浮島丸が)原因不明の爆発により舞鶴沖で沈没した。いまだに返還されない遺骨がある」として、東京・中目黒の祐天寺に眠る朝鮮半島出身者らの遺骨(「浮島丸」事件犠牲者280体を含む朝鮮人軍人、軍属の遺骨700体。本籍は北部425体、南部275体)に言及。朝鮮半島出身者らの遺骨返還事業について、遺骨を何体返還したのか、さらには2010年以降、同事業が中断されている理由について質問した。
これに対し、厚労省の審議官は「浮島丸事件関係者の遺骨返還については、日韓両国で協議を重ねてきた。相手国(韓国)との関係もあり詳細を明らかにすることは差し控えたい」と発言。浮島丸にまつわる犠牲者らは、北南分断前の朝鮮半島出身らであるにもかかわらず、朝鮮民主主義人民共和国にはいまだ1体も返還されていないことや、政府間交渉さえまともに行われていないことなど、多くの矛盾をはらんだまま既存の政府見解を示すにとどまった。
この日、倉林参議は、昨年12月19日に「浮島丸」爆沈事件の真相究明と追悼行事などを行ってきた「浮島丸殉難者を追悼する会」(京都)など3つの市民団体が、厚労相に対し、人道的観点からの遺骨返還の早期実現を求める要請書を提出したことや、朝鮮側への返還が行われていないことを改めて指摘。「人道的な遺骨返還を進めるべきではないか」との同氏の問いに対し、加藤勝信厚労相は「北朝鮮とは国交はないが、そうした中での遺骨の返還について日朝関係を踏まえつつ、外務省と連携して適切な対応をはかりたい」と述べるにとどまった。
不二越強制徴用被害者が死去
日本の植民地支配下、工作機械メーカー「不二越」の工場で強制労働させられたラ・ファジャさんが20日に死去した。享年91歳。南朝鮮の民族問題研究所が明らかにした。
ラさんは、1931年10月に全羅南道・羅州で生まれ、小学校の卒業を控えた45年2月、担任に呼び出され紹介された見知らぬ男に「日本に行き働けば、学校に進学もできるし、お金を稼ぐこともできる」と言われ、不二越富山工場へ動員された。工作機械で鉄を削る作業に従事し、解放とともに故郷へ帰還した。ラさんをはじめとする元強制徴用被害者ら23人は2003年4月、不二越を相手取り富山地裁へ損害賠償請求訴訟を起こしたが、1審(07年)・2審(10年)ともに、65年の韓日年請求権協定を理由として原告敗訴の判決が下った。その後、原告側は最高裁へ上告したが、11年10月に上告は棄却され判決が確定した。