“遠くて近い隣人と心で”/KOREAこどもキャンペーン事務局長、NGO大賞を受賞
2023年03月20日 13:29 共和国東京で授賞式、記念トークも
国際協力NGO「アーユス仏教国際協力ネットワーク」(以下、アーユス)が主宰する「アーユス賞」の授賞式が16日、東京都港区の光明寺で行われ、「KOREAこどもキャンペーン」の事務局長を務める筒井由紀子さんがNGO大賞を受賞した。アーユス賞の大賞は、国際協力の分野に大きく貢献してきたNGO関係者に与えられる。筒井さんは長年にわたり、朝鮮への人道支援活動や、北東アジアを市民レベルで結ぶ国際交流活動に携わってきた。授賞式後の受賞者記念トークでは筒井さんが登壇し、自身の活動経験について語った。
KOREAこどもキャンペーンの歩み
北東アジアの平和構築に寄与することを目的とする「KOREAこどもキャンペーン」の歩みは、95年に朝鮮東北部を襲った大雨洪水被害への支援活動から始まった。当初は5つの支援団体の参加のもと、「North Korea水害支援キャンペーン」(96年)として発足。以降、朝鮮に対して食糧、生活用品、医療備品などを支援。2000年10月には「北朝鮮こども救援キャンペーン」(97年立ち上げ)から、現在の「KOREAこどもキャンペーン」に改称された。支援活動の過程で朝鮮の教育施設との関係を築き、2001年に北東アジアの子どもたちが描いた絵画を交換、各国で展示する「南北コリアと日本のともだち展」(以下、「ともだち展」)をスタート。「ともだち展」は東京だけでなく、平壌、ソウル、中国の延吉で開催されたほか、作品を貸し出しての日本巡回展も行われてきた。「KOREAこどもキャンペーン」は、2012年に日本と平壌の大学生による交流ワークショップを始め、2018年以降は参加対象を南朝鮮の大学生まで広げた平和交流プログラムを推進している。
幾多のハードルを越え
筒井さんは、1995年からアジアの発展途上国への支援を行う国際協力NGO「地球の木」の活動に携わり、97年から「地球の木」が参加していた「北朝鮮こども救援キャンペーン」の事務局を担当するようになった。
筒井さんによると「ともだち展」は、90年代末に南朝鮮NGO団体が取り組んでいた北南朝鮮の子どもたちの手紙交換に着想を得たものだという。当時、南のNGO団体が掲げていた活動フレーズは、「いつかは出会い、共に生きる未来の友だち」。この理念に共感した筒井さんは、朝・日の子どもたちの交流を目的とした絵画展の開催を思い立った。しかし、絵画展を通じた交流活動が軌道に乗るまでには、さまざまなハードルがあったという。
例えば、朝鮮に対する日本社会の偏見や日本メディアの偏向報道は、絵画を出展する朝鮮側の関係者たちを身構えさせた。また、絵画展に関するビジョンの共有も容易ではなかった。