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〈朝鮮の国際情勢認識〉日本の諸政策に憂慮高まる

2023年02月08日 09:30 対外・国際

昨今の国際関係で新冷戦の構図が深まる中、朝鮮は対外政策において自主的な立場を堅持している。激動する国際情勢を朝鮮はどのように捉えているのか。朝鮮外務省が発信する談話や関係者の見解、国内メディアの報道などを通じて探る

原発汚染水放出を決定/海洋環境破壊に批判集中

朝鮮外務省・日本研究所のキム・ソルファ研究員は1月30日、日本政府が福島第一原子力発電所の汚染水放出を強行しようとしていることを非難する記事を外務省HPに寄せた。

2011年の福島原発事故によって日本は、1979年に米国で起きたスリーマイル島原発事故時の14万~19万倍に達する放射性物質を大量流出し、地域住民と地球環境に甚大な被害を及ぼした。7段階で区分される国際原子力事故評価尺度(INES)では、後者がレベル5にランク付されている一方、前者の福島原発事故はチェルノブイリ原発事故(1986年、ウクライナ)と並んで最悪水準の「レベル7」と評価されている。

南朝鮮では、日本の汚染水放出を糾弾するデモ活動が行われている(聯合ニュース)

福島原発の汚染水には、浄化作業でも取り除くことが困難なトリチウムなどの放射性物質が、許容基準値以上に含まれていると科学的に明らかにされている。専門家の見解では、海流が早い福島沿岸でこれらの放射性物質を放出した場合、朝鮮東海はもちろんのこと、数十日以内に太平洋の大部分の水域に流れ込み、数年後には全世界の海域に広がっていくとされている。しかし1月13日、日本政府は今年中に「処理水」100万トン以上を海に放出する方針を示した。このため、全国漁業協同組合連合会をはじめ多くの日本市民らが、政府の無責任な措置を強く非難している。

国際社会も海洋環境を破壊する日本の原発汚染水放出計画に反発している。オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィジーなど15か国・2地域が加盟する地域経済協力機構「太平洋諸島フォーラム」は、日本政府の対応を強く批判。東アジアの周辺諸国や太平洋島嶼国は日本に対して、原発汚染水放出を人類の生存と直結した深刻な問題と捉えなくてはならないと主張し、関連諸国や国際機構との十分な協議のもとで、透明性があり科学的かつ安全な方法を採用するよう強く求めている。

キム研究員は、日本の汚染水放出は「地球の生態環境を保護しようとする国際社会の努力に逆行する」としながら、「日本は国際社会の厳しい要求に耳を傾け、禍根を生む危険な汚染水放出計画を撤回しなくてはならない」と訴えた。

偵察衛星搭載ロケットを発射/敵対的な偵察行為に警鐘

朝鮮外務省・日本研究所のチャ・ヘギョン研究員は2月3日に外務省HPに投稿した記事で、三菱重工業が1月26日に偵察衛星を搭載したH2Aロケット46号機を打ち上げたことについて、「地域情勢の緊張を激化させる危険な行為」だと警鐘を鳴らした。

日本のメディアによると、日本の安全保障と大規模災害対策などの危機管理のため、地上を観測するという名目で発射された今回の衛星は、朝鮮のミサイル発射施設に対する監視に利用されるという。

チャ研究員は、「周辺地域の安全保障環境の変化に対応するとして昨年末に安保3文書を強行採択した日本が、情報収集衛星を最大限に活用し、今後も安保危機管理に万全を期すると積極的に世論化していることを見ると、今回の衛星発射の真の目的を推測するのは難しくない」と分析しながら、以下のような事実関係を挙げた。

日本は、1970年2月に初めての人工地球衛星「おおすみ」を打ち上げて以降、今日までスパイ衛星を含め100機を超える衛星を発射してきた。また、1998年には朝鮮の平和的な人工地球衛星発射を弾道ミサイル発射だと言いがかりをつけ、2003年に初のスパイ衛星を打ち上げ、朝鮮に対する敵対的な偵察活動を行ってきた。最近に至っては、「専守防衛」の仮面を脱ぎ捨て、先制攻撃能力保有のために戦闘機や長距離ミサイル、極超音速ミサイルなど、先端攻撃武器の開発と導入に拍車をかけながら、前例のない頻度でスパイ衛星を発射している。

チャ研究員は、このような日本の政策が「周辺諸国の強い警戒心と深刻な憂慮を生み出している」としながら、「日本は、軍備拡張へとひたはしる地域情勢を緊張させるのではなく、平和と安定を目指す国際社会の正当な要求と警告に耳を傾けるべきである」と指摘した。

(朝鮮新報)

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