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短編小説「鉄の歴史」25/ビョン・ヒィグン

2023年02月13日 09:00 短編小説

「できますとも!首相さまがいらっしゃるかぎり、やってのけられないことがありましょうか」

ウンチルは感動にふるえる声でこう答えた。

「それはちがいます、ウンチルトンム」

首相同志は、かれのことばをさえぎった。

「力はトンムたちにあるのです。私はこれまでも困難に直面するたびに、トンムたちを思い出したのです。すると、私の目の前には、トンムたちが新しく建設する雄大な製鉄所が見えてくるのです」

首相同志は威厳と碓信にみちた目で、ゆっくりと製鉄所の構内を見わたした。

ウンチルの目にも、敵が破壊した灰燼の中からこの地上にそびえたつであろう、金日成首相の偉大な構想――大冶金基地の雄大な全景が迫ってきた。

黒煙をはき出しながら立ち並ぶ大小の溶鉱炉の群れ!

鉄のにえたぎる平炉の群れ!

赤黄色の火花をとび散らす鉄の滝!

川の中に腰をすえた雄大なコークス炉の群れ!

近代的な設備を有する大圧延職場の棟々!

網の目のように入りくんだ構内線路とその線路を鋼材をつんで走りまわる貨車の群れ!

窓ガラスをきらめしながら高層アパートが立ち並び、風にゆらめく緑の街路樹につつまれた鉄の都市!

そこで働き生活するしあわせな人たち!

これらすべてのものをまもって鉄壁のようにそびえ立つ大砲とタンクの群れ!

ウンチルはこみあげる興奮と感激をおさえることができなかった。

かれの胸には、偉大であり、英明である金日成首相を首領にいただく誇りと幸福感、金日成首相の戦士となった栄誉とよろこびが潮のようにみちてくるのだった。

――首相さまご安心ください。こんどもわしたちはきっと首相さまがくださった任務をやりとげてごらんにいれます。きっとやりとげてごらんにいれます。必ずやりとげますとも――

ウンチルは心の底からこうかたく誓った。

今こそ、偉大な首領によって開かれたわれわれの鉄の歴史は、再び首領にみちびかれ、世界を驚嘆させる数知れない奇蹟を生みだしつつ、やすみなく大きく前進していくことだろう。

(おわり)

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