〈今月の映画紹介〉ファミリア／成島出監督

隣り合わせの「日常」

(C) 2022「ファミリア」製作委員会

出入国在留管理庁の発表によれば、日本に暮らす外国人の数は、昨年6月末時点で296万1,969人。国籍・地域別では、中国、ベトナム、韓国、フィリピン、ブラジルの順で上位を占めており、日本の総人口比でみると、全体の約2,368%、およそ100人に2人が外国籍をもつ人々だ。コンビニや飲食店、建設現場のみならず、近年では、商店街の中に外国籍の人々が運営するマーケットが点在するようになった。世の中を見渡せば、わたしたち同様に「在日」するたくさんの隣人たちがいる。

映画「ファミリア」は、日本人と隣り合わせで生きる在日ブラジル人、マジョリティー中心社会のなかにあるマイノリティーのコミュニティーを照らした作品。それらとの接点や、あらゆる人々が共に生きる社会の可能性を、「家族」（＝ファミリア）という形に見出そうとした作り手の思いが投影されている努力作であろう。