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“「人間愛の学校」守る闘いに”/米デポー大准教授が寄稿、インターネットメディアで発信

2023年01月28日 09:30 民族教育

著名な知識人らが寄稿者に名を連ねるインターネットメディア「第4言論(The 4th Media)」に、「『私たちの学校』を守る:継続する人種主義に直面する在日コリアンたち」(今年1月4日投稿)と題する記事(https://www.21cir.com/?p=158895)が掲載されている。寄稿者は、米インディアナ州のデポー大学で教育学を教えているデリック・R・フォード准教授。デリック准教授は、2016年の朝大創立60周年記念国際シンポジウムに参加したほか、2019年と20年に行われたデポー大と朝鮮大学校との交流実現に尽力。昨年11月には、米国の大学教授、大学院生、大学生らで構成された「米国平和学術代表団」の一員として日本を訪問し、都内の朝鮮学校などを訪問した。その際、同氏は「米国に帰国した後も、在日朝鮮人たちの闘いに力を合わせていきたい」との思いを語っていた。以下に、日文訳した同記事の内容をまとめ紹介する。

反コリアン差別は日本の特徴

2022年11月25日、第1回「米国平和学術代表団」の日程が終盤を迎える頃、私は日本の文部科学省に対する要請活動で日本や南朝鮮代表団の関係者らとともに、在日コリアンを人種差別的な政府と右翼の差別から守る必要性について語った。

デリック准教授(左から3番目)は昨年11月に日本を訪問。「金曜行動」では参加者たちを前にしながら、朝鮮学校の素晴らしさを主張し、日本政府の差別政策の不当性について強く訴えた。

朝鮮学校への訪問が4回目を迎える今回は、米国で教育学を教える准教授として、朝鮮学校で行われている教育の質の高さが際立っていることを訴えた。しかし、日本側の担当者たちは日本政府の政策に「問題はない」と否定し続けた。「法律に従っている」と、彼らは言った。その後、私たちは文科省前に向かい、毎週金曜日に行われる朝鮮学校の学生たちの教育権擁護のための抗議行動(「金曜行動」)に参加した。

米国のメディアでさえも、最近エスカレートしている在日朝鮮人とその学校に対する攻撃を取り上げている。歴史的観点が欠け、しばしば間違った枠組みで捉えられがちだが、その問題は非常に意味があり、かつ重要である。

2022年12月初旬、ワシントンポスト紙は、在日朝鮮人学校が直面している脅威に関する記事を掲載した。この記事は、学校が「脅迫電話や放火、そしてさらなる脅威」にさらされているとしながら、脅迫電話は日常茶飯事で、放火でさえ最悪の物理的攻撃ではないと述べている。

教育は生活と人間社会の中心的な特徴であり、抑圧に対する人民の闘いにおいてはさらに大きな意味を持つ。最近エスカレートしている在日朝鮮人とその学校に対する攻撃ほど、教育をめぐる闘いにおいて、現代的ではっきりとした例はないだろう。今こそ世界の左翼は、在日朝鮮人コミュニティ、彼らの学校、そして彼らの大義に無条件の連帯を示す時だ。

デリック准教授(中央)は昨年11月、4度目となる朝鮮大学校への訪問を通じて、朝鮮学校の素晴らしさ、とりわけ教育レベルの高さを改めて実感していた

ワシントンポストの記事に書かれている暴力は、残念ながら特殊なものではなく、すべてのコリアン、特に在日本朝鮮人総聯合会に属する人たちの生活の常態となっている。

2018年には、日本人男性がコリアンの青年をナイフで襲い、同年には2人の男が東京の総聯本部を銃撃した。極右活動家たちは日本のヘイトスピーチ解消法にもかかわらず、初、中、高、大学の校外で日常的に抗議活動を行い、子どもたちを「ゴキブリ」と呼び、「朝鮮学校はスパイ学校だ!日本から追い出せ!」と叫んでいる。朝鮮学校の生徒たちは身体的暴力や言葉による脅迫を受け、学校外で朝鮮の伝統的な制服を着ることを恐れている。2021、22年には在日コリアンに対する放火事件も起きている。日本政府は、このような人種差別的な暴力行為を助長していることを否定しているが、日本政府自体が在日コリアンを敵視している。

またコロナ禍においては、政府による「『学びの継続』のための学生支援緊急給付金」から朝鮮大学校が、さいたま市のマスク無料配布の対象から埼玉の朝鮮学校が除外された。日本政府の主張では、いずれの措置も差別にはあたらないという。そのような主張を理解するためには、正義と平和のための闘いにおける教育の中心性を、とりわけ東アジアの文脈で捉える必要がある。

驚くほど充実する教育内容

つづいてデリック准教授は「在日コリアンの近代的起源」「総聯と在日コリアンの歴史的闘争」との見出しで、日本による朝鮮植民地支配、在日コリアンが日本政府の弾圧に抗いながら民族教育を守ってきた過程について詳細に説明。その上で、在日コリアンは「自らのアイデンティティーを維持し、反コリアン人種主義から解放されるために、子供たちを学校に通わせているのである」と強調した。そして自身の体験に基づいて、こう主張する。

昨年11月、デリック准教授ら(左)「米国平和学術代表団」のメンバーたちは、朝鮮大学校、東京中高(写真)、西東京第1初中を訪れた

日本の朝鮮学校が報道されると、イデオロギーの洗脳工場として描かれる。しかし、生徒・学生たちは我々と同じニュースを見て、読む自由を持っている。それだけでなく、朝鮮学校のカリキュラムは驚くほど充実していて批判的思考が備わっている。

人種差別撤廃委員会などの国連機関は、日本の人種差別政策を公式に非難し、教育の機会を差別なく保障し、ヘイトスピーチなど朝鮮学校の子どもたちに対する暴力的行為を防止するよう勧告を出している。国際的な圧力にもかかわらず、日本政府は朝鮮学校の保護を拒否し、抑圧を強化するばかりだ。朝鮮学校とそこに通う生徒は、暴力、憎悪、偏見から解放されなければならない。かれらへの差別は違法とみなされ、賠償金が支払われるべきだ。

我々の課題は、このような差し迫った問題をより大きな文脈に結びつけることであり、最終的には、米国が朝鮮との平和協定に署名し、朝鮮の自決権を認め、南北朝鮮が自らの意思に従って平和的に統一することができるよう要求することである。在日朝鮮人は、自分たちの教育機関を 「我々の学校」と呼んでいる。それはまさに、進歩、正義、人間愛の学校である。

(朝鮮新報)

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