済州四・三真相調査、東京と関西で
2022年12月30日 07:08 歴史抜け落ちた歴史、垣根なく向き合いたい
1948年、米軍政の支配下にあった朝鮮半島南部での単独選挙に反対し、島の共同体守護と南北分断国家樹立反対を掲げ、武装蜂起を展開した済州島の人々。当時、済州島人口の10分の1以上であるおよそ3万人が、軍や警察、反共自警団の討伐により無差別に虐殺される惨劇が起きた。「済州四・三」と呼ばれるこの大虐殺は、犠牲者やその遺族たちに今日まで大きな傷を残している。
南の歴代政権をはじめ、国家権力や反共社会が、その事実を闇へと葬り去ろうとするなか、長い沈黙を破り、真相を明らかにしようとした人々の血の滲むような闘いによって、金大中政権下の2000年に「4.3特別法」(「済州四・三事件真相究明及び犠牲者名誉回復に関する特別法」が施行され、文在寅政権の2022年にほぼ全面改正された。真相究明を核とした旧法に対し、犠牲者らの名誉回復や補償を含む改正法では、それらを実行するうえでの「追加の真相究明調査」が掲げられ、国家暴力により虐げられた犠牲者たちの名誉回復や歴史上の正当な位置づけなど、真相究明のための動きが進みつつある。
これと関連し、日本でも今年9月から実態調査が行われている。在日同胞犠牲者遺族らで構成される在日本済州四・三犠牲者遺族会(呉光現会長)などが呼びかけ展開されている調査は、今月末までに犠牲者および遺族らの第1次証言収録を実施。来年中に追加調査を重ねたうえで、2024年には調査結果をまとめた報告書作成に進む計画だ。調査対象は現在の国籍を問わず、①被害者およびその遺族、②体験者および目撃者、③経験者の証言を聞くなどして影響を受けた人。済州四・三の犠牲者や遺族、体験者のなかには、在日同胞も多く存在し、昨今の国家暴力を告発する取り組みのなかで、「(在日同胞の遺族たちが)胸の奥に閉まっていた悲しい記憶を語りだしている」(「在日本済州四・三74周年犠牲者慰霊祭」での呉光現会長の言葉より)という。
調査員の一人で遺族会のメンバーでもある高元秀さんは、「済州四・三は、当事者たちが根本的に語れなかったため、私たちは知りようがなかった現実がある。しかし、当時の惨劇を知れば知るほど、現状として同世代が知らないことに愕然とする」と述べながら、「事実から抜け落ちた在日の歴史に危機感や焦りを感じるが、この現状に向き合い、事実を生きた歴史として蓄積していけるよう活動していきたい」と話した。
また遺族会の呉光現会長は、「済州四・三は、南北が分断される前に起きた出来事で、在日同胞にも多くの当事者たちがいる。特に大阪は、済州島出身が多い。垣根なく、自分たちの歴史に向き合っていけたら」と訴えた。
来年は済州四・三、そして米国による南朝鮮での単独政府捏造から75年になる。
事件の実態調査が真相解明に止まらず、分断の元凶である米国と、それに追随してきた南の分断勢力、対米追随・同族対決に狂奔する現政権を糾弾する全民族的な連帯運動の発展に貢献することが期待される。
(韓賢珠)