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〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 49〉酔客を乗せて、泥船は何処へ/田中英光①

2022年11月11日 08:00 寄稿

今年急死した芥川賞作家の西村賢太が若い頃から相当にのめり込んだ作家として、田中英光の存在が再び注目されたことがあった。

田中は1932年ロサンゼルス五輪大会に漕艇選手として出場した経歴を持つ。その後左翼運動への参加と逮捕・転向、植民地朝鮮のゴム会社へ就職する。実業よりも文学に傾倒し、文通を通じ太宰治に師事する。陸軍に招集され中国戦線での殺戮へ加担した戦場体験を経て、青春小説「オリンポスの果実」が出世作となる。御用団体・朝鮮文人協会で活躍し、親日文学者らとも盛んに交流した。

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