ウトロ平和祈念館で企画展/京都


放火事件と当事者の営み伝える

昨年夏に京都・ウトロ地区(宇治市)で起きた放火事件と関連し、ウトロ平和祈念館で企画展が開催されている。

在日朝鮮人が集住するウトロ地区では、昨年8月30日、住宅や倉庫など7棟が焼ける火災が発生。当時、焼失した倉庫には、祈念館に展示予定だった資料などおよそ50点が保管されていた。

その後、非現住建造物等放火の罪で奈良県在住の男が逮捕・起訴されたのを機に、放火事件であることが判明。裁判では、「韓国人に対し敵対感情があった」とする男の供述などから、犯行が差別的動機に基づくヘイトクライムだとの指摘がなされ、京都地裁は8月30日、「(犯行は)民主主義社会において到底許容されるものではない」として、男に対し、求刑どおりの懲役4年を言い渡した。

現在、開催中の企画展では、火災発生直後から判決までの経過と、放火事件をとりまくウトロの人々の営みを、10枚のパネルで簡潔明瞭に紹介した。

放火事件についてウトロの立場から発信する目的で企画された展示について、総聯南山城支部の金秀煥委員長(ウトロ祈念館副館長)は「メディアの関心は、かれの精神世界や動機により大きく向けられているが、問題はかれにあるというよりも、かれをつくり出した社会にある」と述べながら「放火事件に対する被害当事者や支援者らの営みを伝えることで、そのような現状を一歩ずつ前進させていければ」と語った。

9月24日、祈念館には各地から集まった留学同の同盟員たちが講習の一環で訪れていた。支部委員長の解説を熱心に聞いていた留学同九州の金成純さん(21、福岡ECO動物海洋専門学校3年)は、この日初めてウトロの地を踏んだという。

金さんは「歴史などの展示物ももちろん勉強になったが、深く突き刺さったのは3階に展示されていた1世たちの証言。自分と直接関係があってもなくても、いまの自分があるのは先祖たちの営みや闘いがあってこそなんだと、実感できた」と感想を口にした。

さらに前述の企画展を観た際は、放火事件直後、SNS上で出回ったヘイトスピーチが載るパネルに目を奪われたという金さん。「家屋が燃えただけでも十分大きな被害なのに、『放火は悪いことだけど理解できる』などのヘイトスピーチを言えてしまう、そんな日本社会に私たちは生きている。だからこそ、もっと学ぶ必要があると強く感じた」と語った。

来月には祈念館の開館から半年を迎える。金秀煥委員長は「放火事件が起きる社会、これを止められない社会の現状がある一方で、多くの人々の実践によって前進した社会の現状もあり、その中心には同胞たちがいた」と話したうえで「祈念館を訪れる方々に接しながら、ウトロ祈念館が、人々がヘイトクライムに向き合ううえで、その一歩を踏み出す場所になっているのだと感じている。社会の問題に、人々が責任の当事者として向き合えるよう、祈念館だからこそできる発信をこれからもしていきたい」と語った。企画展は年内開催予定となっている。

(韓賢珠)