国際社会との人権政策乖離に抗議/国連勧告の遵守訴える集会とデモ、新宿で200人集う
2022年09月29日 16:48 権利日本政府に対する国連人権勧告の遵守を訴える集会とデモ(国連・人権勧告の実現を!実行委員会)が25日、東京都新宿駅周辺で執り行われた。高校無償化制度からの朝鮮学校除外、日本軍性奴隷制問題、ヘイトスピーチ、被差別部落問題、入管問題などに取り組む同胞、日本市民ら約200人が詰めかけた。
同実行委は、さまざまな人権問題に取り組む市民らによって2013年に発足。毎年デモや学習会を行い、日本政府に対し国連の人権勧告遵守と差別解消を訴えてきた。
新宿駅前で行われた集会では、在日本朝鮮人人権協会、部落解放同盟東京都連合会、外国人労働者・難民と共に歩む会BONDなどの7団体がアピールした。
人権協会の朴金優綺部長は、在日朝鮮人は日本の公的支援がほぼないなか、朝鮮の解放後からこんにちまで民族教育を守り抜いてきたとしながら「歴史的背景を考えると、日本は在日朝鮮人が民族教育を受ける権利を十分に保障する義務がある。しかし保障はおろか、一貫して在日朝鮮人を公的な差別の対象としている」と糾弾。政府がお墨付きを与えた在日朝鮮人差別は市民社会でもくすぶっていると強調した。
朝鮮学校差別に関しては、国連の各人権条約委員会から日本政府に対し繰り返し勧告が出ている。朴金さんはこれに言及しながら「人権無視の政策がまかり通る日本と、人権重視の政策が当たり前とされる国際社会の乖離が進んでいる。私たちが拠り所とすべきは国際的な人権基準。いまこそ思いをひとつにして差別をなくすために行動していこう」と呼びかけた。
部落解放同盟都連青年部の川口弘志部長は、水平社宣言から100年が経った今、露骨な部落差別は減少したものの就職や結婚などでの差別は現存すると指摘した。そのうえで、出自に対する偏見によって被差別部落出身者が不当に逮捕された狭山事件(1963年、現在再審闘争中)に言及。証拠の開示を求める当事者に対し不誠実な態度をとる検察を「人の尊厳と命が関わっている。こんな対応でいいはずがない」と怒りをあらわにして批判。「この世界にもてあそんでいい命などはない。差別が差別として認識されない社会を変えないといけない」と訴えた。
関東地方を中心に、外国人労働者や難民問題に取り組んでいるBONDの小堀百花さんは「戦前から続く在日外国人管理政策のもと、これまで何人もの尊い命が奪われてきた。いま日本に暮らす外国人労働者や難民は、様々な事情で祖国に帰れない人たちだ。そんな人たちを、入管は差別、抑圧、強制送還の対象としている」と言及。「この差別政策は国際的にも大きな批判を浴びているが、政府は独善的な対応で責任逃れを続けている」としながら、差別反対の声をともにあげようと訴え連帯の意を示した。