全国弁護士フォーラム2022 in 東京/無償化弁護団が企画し10月開催
2022年09月14日 09:35 民族教育民族教育擁護運動の今後を考える
朝鮮学校を高校無償化制度の対象から除外した国を相手取り、各地5ヵ所で行われてきた無償化裁判は、昨年7月27日、広島訴訟と関連する最高裁決定を最後に終結した。
これと関連し来る10月22日、司法闘争を牽引してきた弁護士らが中心となり、「朝鮮学校を支援する全国弁護士フォーラム2022 in 東京」を開催する。
フォーラムは、裁判の進行過程に形成された弁護士たちのネットワークを発展させ、朝鮮学校に通う子どもたちの学習権を法的に確立するために、弁護士を中心とする法律家が集い議論する場を継続的につくっていこうと企画された。
これに先立ち、フォーラムのプレイベントとなる「朝鮮学校を支援する全国弁護士フォーラム2022プレセミナー」が5日、オンライン開催され、約50人の弁護士らが参加。この日は、「知ろう、学ぼう、支援しよう:朝鮮学校―歴史と現在―」をテーマに、弁護士のみを対象に行われた。
講師を務めた明治学院大学の鄭栄桓教授は、在日朝鮮人による民族教育の歴史的変遷について解説。「戦前・戦後の歴史のなかで継続した民族教育権侵害」と、1990年代以降の「北朝鮮バッシング」、2000年代の「対テロ戦争」、2006年以降の「制裁」による在日朝鮮人への権利侵害など、歴史的に積み重ねられてきた弾圧の延長線上に、高校無償化からの朝鮮学校除外があると説いた。
鄭教授は、講演の結びとして、かつての阪神教育闘争に象徴されるような「閉鎖」の論理から、現在は、朝鮮学校こそが門戸を開きなさいという「門戸開放」の論理と「制裁」の論理が共存している状況だと指摘したうえで、それがまさに「日本における『多文化主義』の限界点をみせている」と強調。日本における加害責任など、歴史的背景を無化するような動きの危険性について考えるべきだと述べた。
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2013年から約8年半もの間、現役の朝高生や卒業生、朝鮮学園などが原告となり臨んだ無償化裁判。司法の最後の砦といわれる最高裁がすべての関連訴訟で不当判決を確定させたものの、この間に培われた新たな連帯のネットワークは、民族教育を守り発展させるための各地の運動を、より一層盛り上げる重要な基盤となっている。
とりわけ、無償化裁判に伴い各地で結成された弁護団は、裁判進行中に「全国弁護団会議」を通じて連携をとる一方、弁護士一人ひとりが、朝鮮学校差別の核心には何があるのか、日本の政治、社会そして人々が抱える課題を投影した無償化裁判に臨むことで、考え、議論し、その課題を共に見つめてきた。
来月開催の「全国弁護士フォーラム」は、東京中高を会場にオンライン中継も行われる予定で、参加費は無料となる。
実行委員会では、フォーラムを通じて、同胞はもちろんのこと支援者らとともに裁判闘争の経験と課題を確認する重要な機会にすべく準備に余念がない。
裁判闘争という経験を、明日にどのようにつなげていくのか―。各地における民族教育擁護運動の今後を考えるうえで、重要な視座が提起されるだろう。
(韓賢珠)
関連情報
「朝鮮学校を支援する全国弁護士フォーラム 2022 東京」
- 日時 2022年10月22日(土) 13時30分~16時30分(13時開場)
- 会場 東京朝鮮中高級学校 (東京都北区十条台2-6-32)
- ※オンラインとのハイブリッド開催
- 参加費 無料(現地参加の場合、資料代1000円)
- 事前申込制・詳しくはフォーラム特設サイト参照
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内容
第1部 シンポジウム「朝鮮学校無償化裁判の到達点と課題」
・基調報告
朝鮮学校無償化裁判・東京弁護団から
・パネルディスカッション
藤永壮(大阪産業大学教授、歴史学)
石井拓児(名古屋大学大学院教授、教育学)
丹羽雅雄(弁護士、大阪弁護士会)
裵明玉 (弁護士、愛知県弁護士会)
コーディネーター 李春熙(東京弁護団)
第2部 朝鮮学校支援に関する全国各地からの報告