山口初中関係者らが県へ申し入れ/補助金停止から9年


尊厳と人格確立のための教育、“保障の義務果たして”

山口朝鮮学園への補助金支給停止と関連し8月24日、山口初中の呉栄哲校長をはじめとする学校関係者らが申し入れを行った。

山口朝鮮学園への補助金支給停止と関連し8月24日、山口初中の呉栄哲校長をはじめとする学校関係者らが山口県に対する申し入れを行った。申し入れには、教員や朝鮮大学校に通う同校卒業生などの同胞、朝鮮学校を支援する山口県ネットワークの日本人支援者らが参加。県からは、学事文書課課長らが対応した。

1995年度より「私立外国人学校特別補助金」の名目で県から同校へ支給されていた教育補助金は、2013年2月、県が予算計上を見送ったことをきっかけに、現在まで停止されたまま。以来、関係者たちは月1回のペースで県庁を訪ね、抗議行動や要請を続けている。

シュプレヒコールを叫びながら抗議行動を行う参加者たち

集まった参加者たちはまず、県庁前で「差別反対!」「朝鮮学校への補助金を即時再開せよ」などとシュプレヒコールを叫びながら抗議行動を行ったのち、県に対する申し入れに臨んだ。

この日の申し入れでは、呉栄哲校長が、山口県知事にあてた要請書を読みあげ、県の担当者へ手渡した。

要請書では、県に対し、▼山口初中に対する補助金交付を再開するため、2023年度予算に計上すること、▼新型コロナ感染症の拡大防止と関連した新事業を行う場合、また私立学校給食費等にかかる物価高騰差額補助事業について、他の小中学校および幼稚園と同じように山口朝鮮学園を補助対象とすること―を求めた。

呉校長は、「本校を卒業した子どもたちの多くが福岡の朝鮮高校に進学するが、幼・初・中の課程において、山口では補助がなく、福岡では朝鮮学校も補助の対象になる。非常に理不尽だ」と述べたうえで「毎月こうして県庁で闘っていることを子どもたちは知っている。差別是正に向けた取り組みを一日も早く進めてほしい」と訴えた。

応対した県の担当者は、「県は朝鮮学校を各種学校として認可しているが、全国的な流れのなか本県でも認可した経緯がある。1条校とは違う形で、ゆるやかな形での学校教育のあり方ととらえている」と前置きしながら、現在交付を停止している補助金について「予算を計上しないことが差別とは考えていない。補助金を出すことに県民の理解をえられないと判断している」と答えた。

 申し入れに参加した同胞や日本市民ら

これに対し、朝大理工学部1年の金宣貴さんは「自分は九州朝鮮高校から朝鮮大学校に進学した。小さい頃はわからなかったが、高校に入ってみて、どれだけ自分たちが差別を受けているのかを知った」と述べながら、この間、山口初中の学童保育をサポートしながら感じたことがあったとして、こう続けた。

「無邪気に遊ぶ子どもたちの姿をみて、私たちはいつまで差別を受け続ければいいのかと腹が立った。これ以上、後輩たちに、このような場で発言をさせたくない。自分は当事者だから頑張らなければと思ってきたが、当事者は朝鮮人だけなのか。日本人も当事者ではないのか。ちゃんと責任を持ってほしい」 (金さん)

つづけて、李亜耶さん(朝大政治経済学部3年)は、「3回目の要請参加になる。中学生の頃に補助金が停止され、大学ではコロナ禍での学生支援緊急給付金の対象から排除された。いつまでたっても差別の対象だという心の傷が残っている」と吐露した。

現在、弁護士を目指しているという李さんは、「教育は人間の尊厳や人格の確立のために不可欠なものだ。諸外国では民族教育が保障されているが、植民地支配の責任を負う日本こそ、民族教育を保障する義務がある」としたうえで「在日朝鮮人はいま、尊厳をとったら生活を捨てざるをえず、生活をとったら尊厳を捨てざるをえないような状況にある。色眼鏡で見るのでなく、1人1人の人間として見てほしい」と満身で訴えた。

支援者らはそれぞれ「国連人種差別撤廃委員会からの勧告など県が独自に資料を集めて判断すべきだ」「多様な人々が共生できる社会を求める」などの意見を訴えた。

この日、県当局の回答に前進は無く、紋切り方の回答に終始した。

参加者たちは、県が差別的な対応を是正するまで、今後も継続して働きかけていく決意を共有した。

【山口県補助金対策委員会】