〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 47〉朝鮮と向き合う「痛みとよろこび」/森崎和江①
2022年09月02日 11:00 寄稿今年6月15日、作家、詩人の森崎和江が亡くなった。1927年、日本統治下の朝鮮・大邱に生まれ、敗戦前に帰国したが、自分を「日本人」として同定しえない意識のまま、福岡・筑豊の炭鉱地帯の労働民衆とその生活に深く関わりながら、階級、知識人と民衆、「女」という性の問題、そして植民地―サバルタン・スタディーズ、セクシュアリティやフェミニズム、ポストコロニアル批評など横文字の学問的概念が入るはるか以前から、彼女は一人、戦後日本でこれらの問題群をまるごと抱え、開いていった。