ドンバス地域の独立国家承認、朝鮮の正当な主権行使
2022年07月22日 07:47 対外・国際正しい歴史認識、自決権原則に沿った決定
朝鮮政府は7月13日、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立を認めることを決定し、自主・平和・親善の理念に従って、これらの国々と国家関係を発展させる意思を表明した。ウクライナは「ロシアが一時的に占領している領土の独立を認めた」として、朝鮮との断交を宣言したが、「これまで米国の朝鮮敵視政策に同調し、国家関係で公正性と正義が欠如した行為を繰り返したウクライナは、朝鮮の正当な主権行使に難癖をつける権利も資格もない」(外務省スポークスマン)と一蹴した。
ウクライナ紛争の起点
自主の旗印を掲げ、国際社会で反帝反米のための共同闘争を先導する朝鮮は、正しい歴史認識と人々の平等権及び自決権原則の尊重に基づいて今回の決定を下した。
ロシア系住民が多く住むウクライナのドネツク州とルガンスク州で投票によって「人民共和国」の独立が宣言されたのは8年前だ。今日のウクライナ紛争の火種が生まれたのもまさにその年だ。
2014年、米国の工作によってウクライナで政権転覆が起きた。 「革命」の美名の下にロシアを敵視する親米傀儡政権が登場し、国内の親ロシア勢力を弾圧と迫害の対象にすると、クリミア半島の人々(90%がロシア系住民)は投票を通じて独立を宣言、ロシアは住民の意向に従ってクリミア半島を併合した。ロシアと国境を接するウクライナの東部、ドンバス地域の二つの州で独立が宣言されたのはその直後であった。
ウクライは両共和国を「親ロ反軍」と呼び、独立運動に対して「対テロ作戦」を開始すると発表。ウクライナ軍と「ネオナチ」と呼ばれる極右分子による民兵組織がロシア系住民を攻撃した。米国はここに兵器と資金を提供し、対立と混乱を助長した。
一方、ロシアとヨーロッパ諸国は紛争の仲裁に乗り出し、2014年と15年、ベラルーシの首都ミンスクで二度にわたり休戦が合意された。しかし、ウクライナはドンバス地域に対する統制権を取り戻す代わりに、両共和国に特別な地位と自治権を付与するとしたミンスク合意を履行するつもりはなく、ロシア系住民に対する攻撃は続いた。
これまでドンバス地域では約1万4,000人余りが戦死し、約100万人の避難民が発生したとされる。今日のウクライナ紛争の起点が8年前にあると指摘される所以だ。
「米国の衛星国家からの独立」
ロシアはミンスク合意が履行されることを望み、両共和国の独立を公式に認めることを先送りしてきた、2021年に発足したバイデン政権は、ウクライナのゼレンスキー政権を煽ってドンバス内戦をさらに激化させ、今年に入りロシア系住民たちに対する迫害と攻撃は見過ごせない段階に至った。結局、プーチン大統領は両共和国の独立を承認し、その国の指導者たちと共に「友好協力および相互支援協定」に署名した。彼が協定に基づく集団的自衛権の発動により「特別軍事作戦」を開始すると発表したのが2022年2月24日だ。
冷戦終結後、米国は欧州での覇権拡大をNATOの東方拡大によって実現し、冷戦期に対決相手であったロシアの国家安全保障を脅かした。2014年以降、ウクライナの政権は米国の意向に沿ってNATO加入を積極的に目指した。
ロシアにとって「特別軍事作戦」は相手の攻撃に対する反撃の性格を帯びている。プーチン大統領は2月24日の対国民演説で「NATOは米国の対外政策の道具に過ぎない」、「わが国と隣接する領土に外国勢力が統制し、NATO軍が駐屯する反ロシア集団がつくられること」を阻止しなければならないと強調し、次のように明言した。
「特別軍事作戦の目標は、8年間、ウクライナ政権から虐待と虐殺の対象とされてきた人々を保護することであり、このために私たちはウクライナの非軍事化と非ナチ化を達成し、ロシア国民を含む民間人を対象に数多くの流血犯罪を行った者たちに法的責任をとらせる。ウクライナ領土の占領は、私たちの計画に含まれていない…」
朝鮮は「ウクライナ事態の根源は、他の国々に対して強権と横暴をはたらく米国と西側の覇権主義政策にある」(外務省スポークスマン)との見解を示し、敵対勢力の政治軍事的脅威を根源的に取り除き、国の尊厳と平和、安全を守るための人々の闘いに連帯の意を表してきた。ドンバスの両共和国と外交関係を結ぶ決定も、こうした見解と立場に基づいている。
朝鮮の今回の決定には、自主の原則が貫徹されている。それについてドネツク人民共和国の指導者が「私たちにとって一つの外交的勝利」と意義を強調し、ルガンスク人民共和国の外務大臣が「ナチスの侵略と米国の衛星国家からの独立のために戦う私たちに対する支持」と歓迎したのは偶然ではない。
(金志永)