〈取材ノート〉焼け跡に新たな実り


《하늘이 무너져도 솟아날 구멍이 있다(空が崩れても這い出る穴はある=窮すれば通ず)》という朝鮮のことわざがある。これ以上ない絶望的な状況におかれても、強い意志があれば逆境を乗り越える道が見えてくるという意味だ。実社会においてこれを痛感する出来事があった。

昨年のウトロ地区(京都府)への放火から約8カ月が経った今年5月、初めて事件現場を訪れた。歪んだドラム缶やテレビはそのまま置かれ、黒くむきだしになった柱は未だ焦げ臭かった。

生活圏を脅かされ、多くの住民が恐怖と憤りにさいなまれた放火事件。燃やされたウトロの歴史はもう戻ってこない、そんな現実を突きつけられる現場だった。

そんな焼け跡の一角に、小さな畑が作られていた。

青唐辛子、エゴマの葉、朝鮮カボチャ。畑に実った青々しい野菜が、日の光に照らされてみずみずしく輝いていた。

「すぐそこのおばあちゃんが植えたんですよ」。総聯京都南山城支部の金秀煥委員長が教えてくれた。「焼け跡に土が残っていたので、せっかくだし整えて畑にしたんです」。

むなしく燃えた現場に光る、同胞おなじみの青野菜。「つらいなかでもできることはある。一緒に食べて元気を出そう」そう語りかけられたようだった。

差別と排斥のなかをたくましく生きた先代同胞たちの力は、絶望の中でも失われることはない。

(紗)