〈さくっと解説~知識の源Q&A〉難民とは?


多様・複雑化する昨今の日本社会で、相互理解の前提となる知識や認識の積み重ねは、一層その必要性を増している。企画・知識の源Q&Aでは「社会を知る~今週のnewsトピック~」と関連して、今知っておきたい知識をQ&A形式で紹介する。

難民とは?

緊迫するウクライナ情勢を受け、日本政府は今年3月以降、現地の人々を「避難民」として受け入れており、その数は1千人を超えた。この「特例」扱いの対応について、他の国々から難を逃れてきた「難民」への対応と差があるとして、二重基準を指摘する声が相次いでいる。難民に関する基礎知識を確認する。(参考・引用=公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本HP、認定NPO法人難民支援協会HP)

 

Q. 「難民」とはどのような人たち?

A. 現在、広く共有される「難民」の定義は、1951年7月、スイス・ジュネーブで開催された「難民および無国籍者の地位に関する国際連合全権委員会議」で採択した国際条約「難民の地位に関する条約」および67年の「難民の地位に関する議定書」に基づいたもの。一般的に、この二つを合わせて難民条約と呼ぶ。

ここでの「難民」は、「人種や宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団に属するという理由で、その国に留まると迫害を受けるおそれがあるため、他国に逃れ国際的保護を必要とする人々」を指すが、近年、世界各地で多発する紛争に伴い、この定義を超えた難民保護を求める声が大きい。

Q. 「避難民」と「難民」の違いは?

A. 「避難民」という言葉は、法律上の規定がなく、日本政府が「特例」で在留を認めるのに対し、「難民」は、先に説明した国際条約に基づき、本人からの申請で法務大臣が認定し一定期間の在留資格をもつ。「難民」の場合、認定に伴い5年間の定住が認められ、永住許可要件の緩和や就労資格、年金や健康保険などを受けるのが可能になるなど、難民と避難民では待遇が異なる。

Q. 難民条約ができた背景は?

A. 旧日本軍やナチスドイツによる大量虐殺など、戦争がもたらした惨禍への反省から、第二次世界大戦後の1948年に「世界人権宣言」が国連で採択された。このなかで、庇護を求める権利とすべての人間が差別されずに基本的人権を享受できる旨が確認されたことが、背景の一つとして影響している。以来、難民条約のみならず、人々の基本的人権を守るための国際人権条約(国際人権規約、拷問等禁止条約、女性差別撤廃条約など)が採択されている。

Q. 日本はいつ難民条約に加入したの?それに伴い生じる義務は?

A. 日本の加入は採択から30年後の1981年(2021年現在で145ヵ国が加入)。締約国は難民を保護する責任を負う。特に重要なものとして「命の危険がある国に強制的に送り返してはいけない」(難民条約第33条等)「不法入国などを理由として、難民を罰してはいけない」(同31条)という内容がある。

さらに締約国は、必要があれば、加入した条約に沿って人権を守るための法整備や現行法の改正を行う義務があるが、日本では、難民を保護するための仕組みが整備されていない現状がある。これに対し「外国人の人権を守ることに対する、日本社会の意識の希薄さを反映している」(難民支援協会「日本の難民認定はなぜ少ないか?-制度面の課題から」より)との指摘も出ている。

日本の難民認定数は、2020年に47人で認定率が0.5%だったのに対し、ドイツは6万3456人(認定率41.79%)、カナダは1万9596人(同55.2%)など、欧米の条約締約国に比べ、受け入れの低さが際立つ。

Q. 日本の難民政策、問題点は?

A.条約に書かれた難民の定義、迫害の解釈などが極めて狭義且つ状況を考慮しない「認定基準」であること、そもそも希望者が難民申請を行えているのか、言語体制や弁明の機会が与えられているのか、不認定の場合はその理由が明示されているのかなど、「手続きに関する基準」に問題があることが指摘されている。

また日本の入管収容および難民認定制度をめぐっては、難民の保護よりも管理・取り締まりの実態が色濃い対応に、国際人権基準に則った見直しを施すよう、国連の人権条約機関から再三にわたり勧告が出ている(直近では国連人権理事会・恣意的拘禁作業部会特別報告者が2021年3月に共同書簡を出した)。

 

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