世界が目撃した朝鮮の核戦争抑制力
2022年04月27日 08:19 軍事軍事パレードは平和守護の祭典
2022年4月25日、平壌で行われた朝鮮人民革命軍創建90周年慶祝閲兵式は、世界に類のない平和守護の祭典として歴史に刻まれるだろう。大国の対立激化によってユーラシアの中心で武力衝突が起こり、国際的な安全保障環境が大きく揺れ動く激変期に国家と民族の自主権と安全をしっかりと担保する朝鮮の不可抗力が国内外に誇示された。
自主と繁栄のための闘争史
朝鮮では太陽節(金日成主席の生誕日・4月15日)や国慶節(9月9日)、党創建記念日(10月10日)など国家的な祝日に際して軍事パレードが行われてきたが、朝鮮人民革命軍の創建記念日に際した軍事パレードは特別な追憶を呼び起こす。
広場を練り歩く閲兵部隊は、自主と独立のための武装闘争、平和と繁栄のための武力建設の歴史と連なっている。
90年前、朝鮮の最高峰・白頭山の樹林で朝鮮人民革命軍を創建(1932年4月25日)した金日成主席は、武力こそが民族を救い、革命の勝利をもたらすという信念を実践し、一世代に「二つの帝国主義」に打ち勝った。1930年代からの抗日武装闘争と米国の侵略に反対して戦った50年代の祖国解放戦争における勝利は、朝鮮で代を継いで継承されてきた矜持であり誇りだ。
金正日総書記は、主席の偉業を受け継ぎ、武力発展の全盛期を切り開いた。
30年前の1992年4月25日にも軍事パレードが行われた。朝鮮人民軍最高司令官である金正日総書記が閲兵部隊に「英雄的な朝鮮人民軍将兵たちに栄光あれ」と祝賀の言葉を送った。
社会主義ソ連の解体から、4ヶ月後の光景であった。朝鮮の軍事パレードは帝国主義者たちの反動攻勢に対抗し、社会主義を守り抜くリーダーの意志とそれを担保する人民軍と人民の一心団結を国内外に誇示するものであった。
唯一超大国を自認していた米国と敵対勢力の孤立圧殺策動が極度に達し、朝鮮が前代未聞の試練に直面した「苦難の行軍」の時期も、武力重視の思想は実践された。人民は生活苦に陥りながらも、祖国の尊厳と次世代の平和な暮らしのために朝鮮労働党の自衛的国防建設路線を支持した。
世紀が変わり、米国が追従国家と共に反テロ戦争を敢行していた時期に、朝鮮は核戦争挑発を制圧する力を備えることを決断した。最初の地下核実験(2006年10月)を断行する前に、「自らの信頼できる戦争抑制力がなければ、人民が悔しく犠牲になり、国家の自主権が無残に踏みにじられてしまうことは、今日の世界で起きている弱肉強食の流血惨劇が示す血の教訓」(朝鮮外務省声明)であると断言した。
その「教訓」は今でも有効だといえる。
より鮮明になった優劣逆転
金正恩時代の最初の軍事パレードは2012年4月に行われた。
閲兵広場で演説した金正恩総書記は、軍事技術的優勢はもはや帝国主義者の独占物ではなく、敵が原子爆弾で我々を威嚇する時代は永遠に過ぎ去った。今日の雄大な軍事パレードが明白に証明してくれるだろうと述べた。パレードの末尾には「火星」系列の大型ミサイルが登場した。
あれから10年の歳月が流れた。優劣逆転の構図はより鮮明になった。
朝鮮はすでに確保した軍事技術的強勢をさらに不可逆的なものにするための国防力強化の先端目標を絶えず達成し続けている。2022年4月の軍事パレードは、その力の実体をこれ見よがしにアピールする機会だ。敵味方を問わず、世界各国の政府と軍部が朝鮮の強力な自衛力を目撃した。
米国本土を射程圏内に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星砲−15」型の試射成功で国家核武力完成を宣言したのが5年前だ。今は党第8回大会で示された国防発展5カ年計画(2021~25年)に則って戦略戦術兵器システム開発に拍車をかけている。
今年に入り、米中露が開発競争を繰り広げる極超音速ミサイルの最終試射が金正恩総書記の立会いの下で行われた。射程距離が伸び打撃力が向上した超大型ICBM「火星砲-17」型、戦術核運営の効果性を高める上で意義のある新型誘導兵器の試射も相次いで実施された。
そして2022年4月の軍事パレードでは「天下無敵の先端化された攻撃型打撃集団となった鉄の隊列」(朝鮮中央通信)が閲兵広場を威風堂々と行進した。
銃砲声は鳴ってはならない
冷戦終結後の国際秩序に変動が起こり、地域の軍事的不安定性が増大する中、朝鮮は核戦争威嚇を伴う米国との長期的対決を続けている。
米国は軍産複合体の産物である軍備を戦争の手段とするが、朝鮮は自力更生で開発生産した戦略戦術兵器に唯一つの使命を与えている。国家の安全を守る核戦争抑制力として機能することだ。
銃砲声は鳴ってはならない。強力な攻撃手段を備え、米国が朝鮮の安全を侵害しようとすれば、必ず凄絶な対価を払うことを知り、無謀な侵攻を諦めさせれば、それでいいのである。
朝鮮人民革命軍創建90周年慶祝閲兵式で演説した金正恩総書記は、われわれの核戦力の基本的使命は戦争を抑止することだが、この地でわれわれが決して望まない状況が醸成される場合にまで、われわれの核が戦争防止という一つの使命にだけ束縛されているわけにはいかない、いかなる勢力であれ、わが国家の根本的利益を侵奪しようとするならば、われわれの核戦力は意外なその第二の使命を断固果たさざるを得ないと覚悟と意志を示した。
ウクライナで勃発した戦争の恐怖と不安が広まる時、世界中に伝えられた軍事パレードの映像は各地で対決と紛争を操り利益を得てきた米国が、朝鮮の自衛力を過小評価する時代が完全に過ぎ去ったことを国内外に深く印象付けた。
特定の国家や勢力ではなく、戦争そのものを主敵と定めた朝鮮の軍事パレードは、世界で最も威力のあるパレードである。自衛的国防路線を支持する人民の熱い歓呼の中、誰にも止められない強力な反撃手段が登場する平和守護の祭典は、単なる国家行事の枠を超え、それ自体が巨大な戦争抑制力となっている。
(金志永)