公式アカウント

〈明日につなげる―無償化裁判がもたらしたもの―〉広島弁護団(下)

2022年03月30日 08:00 民族教育

未来見えた経験、探す連帯の形

裁判闘争を支えた関係者たち(提供=朴陽子氏)

2021年7月27日、最高裁第3小法廷は、朝鮮高校を高校無償化の対象から除外したのは違法だとして、処分の取り消しや損害賠償を求めた広島朝鮮学園と広島初中高の卒業生らの上告を退ける決定をした。これにより、学校側を敗訴とした1審、2審判決が確定。約8年におよぶ広島での裁判闘争は終結したが、裁判が終わったいま、関係者らが異口同音に話すのは「闘いの継続」だ。

裁判闘争の原点

2010年に高校無償化法が施行された当時、広島初中高の校長を務めていた李一烈さん(現・四国初中校長)は、今年2月20日に発刊された記録集「広島『無償化』裁判 闘いの記録―司法の有様を問う」に寄せた文のなかで、以下のエピソードを紹介した。

高校無償化適用の最後の段階で、広島朝鮮学園を現地視察で訪れた当時の文科省役員に私は次のような質問をしました。

「朝鮮高校の水準をどのように見ておられるのか?」

すると帰ってきた返答が

「最高水準ではありませんが平均水準より上です」

すなわち日本の高校の平均以上の水準にあるとの判断でした。

同制度を管轄する文科省や衆院文部科学委員会の国会議員らは、制度適用の前段階で、各地の朝鮮高校を訪れ、現地視察を行った。授業見学や生徒・教員・保護者らとの懇談など直接現場の声も聞いた。その際にかれらが残した言葉と、後に文科省から届く制度対象外の知らせの温度差は、当時、学校関係者の多くが違和感を抱かざるを得ないものであった。

最高裁による不当決定を受けて開かれた「広島無償化裁判緊急抗議集会」で舞台に立つ在校生たち(21年8月7日)

実際、法案審議を担う衆院文部科学委員会の田中真紀子委員長(当時)が、東京中高を訪問(10年3月3日)した時も、視察後に「日本人が日本を愛するのと同じように、祖国を思う気持ちがある」と生徒たちへ「理解」を示し、「外交、教育といろいろな問題が入り交じっているが、将来の日本の立ち位置を考えながら良い結論が導き出される議論を期待したい」と発言している。高校無償化からの朝鮮高校除外は、まさに入り混じってはならない教育と外交を、同じ俎上に載せた日本政治に起因するものであった。

だからこそ、各地での司法闘争は、民族教育権を守るための運動として展開され、そこに一人、また一人と志を共にする人々が集結していったのである。

見出した答え、そして

同様の文脈で、広島でも司法闘争が展開された約8年のあいだ、学校関係者や弁護団メンバー、保護者、生徒のみならず学校を支援する3団体(民族教育の未来を考える・ネットワーク広島、日朝友好広島県民の会、広島無償化裁判を支援する会)が連携し、無償化裁判を強く後押しした。そして裁判支援に携わる過程で、それぞれが貴重な気づきを得ていた。とりわけ、この間にまとめられた資料や関係者らの声を聞くと、かれらが見出した答えが何なのかがおのずと見えてくる。

Facebook にシェア
LINEで送る