短編小説「魚のために道をひらこう」2/陳載煥
2022年02月04日 08:25 短編小説吐きつけるような登山帽の言葉は、挑戦的なふくみをもっていたが、麦わら帽は、また始まったと言わんばかりに、あまり気にもかけていないように見えた。そして、もつれたリュックサックのひもを、指先でなおしているだけで、別に顔色も変えなかった。
「だから、あと、240キロしか残っていないわけでしょう」
「この足がかわいそうだよ! なんだってこんな意味のないことを続けるんだい? おかげで、足の裏はすっかり水ぶくれになったよ!」