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同胞女性が思う子育て、介護、コロナと仕事/NGO団体による実態調査、報告書に

2022年01月21日 10:55 主要ニュース 権利

在日同胞女性たちによるNGO団体「アプロ・未来を創造する在日コリアン女性ネットワーク」(以下、アプロ女性ネット)が実施した実態調査が報告書になった。

報告書には、2020年12月から21年4月までの各調査を通じて集まった結果をもとにした分析、それをまとめた資料とエッセイが収録されている。

大阪など関西に在住する同胞女性が中心となり立ち上げられた同団体では、①在日同胞女性の現状を可視化し、彼女らが直面する民族差別と女性差別という複合的な差別の現状を当事者によって明らかにすること、②国連女性差別撤廃委員会をはじめ、日本政府や自治体への働きかけに調査結果を活用することを目的に、2004年・2016年・2018年の3回にわたり、在日同胞女性に対する実態の調査・分析を行ってきた。今回発行されたのは、その3回目の調査についてまとめられたもの。

「子育て」「介護」「コロナと仕事」がメインテーマとなった3回目の実態調査では、ソーシャル・ジャスティス基金(SIF)の助成のもと、従来のアンケートでは見えてこない当事者の声を掘り起こそうとインタビュー形式も導入した。他方で、今回新たに、ニューカマーの在日同胞女性に対するオンライン調査も実施するなど、多様化する在日同胞の実情に即した試みも際立つ。

報告書には、2020年12月から21年4月までの各調査(アンケート調査は17の都道府県から553部を回収、オンライン調査は133人が回答した。またインタビュー調査は19人から聞き取りを行っている)を通じて集まった結果をもとに、アプロ女性ネットのメンバーたちが、自身らの問題意識に基づいて分析、それをまとめた資料とエッセイが収録されている。

アプロ女性ネットの李月順代表は、過去に本紙のコラムで、実態調査の意義について以下のように語っている。

「私は、実態調査を通して、民族差別と女性差別との複合差別と対峙している姿をみた。実態調査の意義を改めて実感した。まさに、こうした在日コリアン女性の姿や声が、私自身のエンパワーメントになっていたといえる」

同報告書は、在日同胞女性の存在を可視化させるにとどまらない、かのじょたちの足跡を歴史に刻み、コミュニティに変化の必要性を迫る大事な史料といえる。

(韓賢珠)

書籍情報

発行=アプロ・未来を創造する在日コリアン女性ネットワーク

価格=頒価800円(送料は2冊まで200円、それ以上は実費)

注文・問い合わせ先= apeuro.inthefuture@gmail.com

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