米国の制裁は「強対強」構図をつくる敵対行為


朝鮮の極超音速ミサイル試射に対する二重基準の適用

朝鮮の極超音速ミサイル試射に対して米国が単独制裁を発動(12日)し、朝鮮外務省スポークスマンが「米国がこのような対決姿勢をとるならば、我々はさらに強力、明確に反応せざるを得ない」と表明(14日)した。バイデン政権が米国を窮地に追い込む悪習を踏襲することへの警告だといえる。

米国の態度に応じて上方調整

「これからも強対強、善対善の原則で米国を相手にする」- 米国に対する朝鮮の原則的立場はすでに労働党第8回大会(2021年1月)で明らかになった。

朝鮮労働党第8回大会が開幕した(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

その後、新たに発足したバイデン政権の対朝鮮政策に対する分析に基づき、「わが国の尊厳と自主的な発展利益を守り、平和的環境と国家の安全をしっかりと担保するには、対話にも対決にもすべて準備せねばならず、特に対決には抜かりなく備えねばならない」(2021年6月、党中央委員会第8期第3回総会)という対応方式、活動方向が示された。

朝鮮の防衛力強化措置に対する米国の対決姿勢は、「強大強」原則を作動させるトリガーを引くことになりかねない。そうなれば、今後、米国の立場と態度によって朝鮮の自衛権行使の幅と強度が上方調整される構図となる。

党第8回大会で示された国防科学発展及び兵器システム開発5ヶ年計画で戦略兵器部門に該当するのは△超大型核弾頭の生産 △1万5,000キロ射程圏内の打撃命中率向上 △極超音速滑空飛行戦闘部の開発導入 △水中及び地上発射型の固体エンジン大陸間弾道弾(ICBM)開発 △原子力潜水艦と水中発射核戦略兵器の保有などだ。

トランプ政権時代、朝鮮は朝米間の信頼構築のために核実験とICBM試射を中止し、核実験場を廃棄する先制的な重大措置を講じたが、米国はこれに応えるどころか対決姿勢を強化した。2年間、忍耐を発揮し、米国が信頼回復のための措置を講じることを持ち続けた朝鮮は、2019年12月の時点で「守る相手もいない公約に、我々が一方的に縛られる根拠がなくなった」と表明している。

主権国家の権利を否定

党大会で示された国防力発展5カ年計画は、自力で国家と人民を守るという国防政策に基づいて作成された。現在、朝鮮で開発生産されている戦略戦術兵器システムは、戦争を抑止するための力だ。自国の利益追求の範囲を海外にまで拡大しようとする国が覇権戦略の手段として使う軍事力とは性格を異にする。

国防科学院が行った極超音速ミサイル試射(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

今回、米国が問題視した極超音速ミサイルでは、米国も先行する中国、ロシアに遅れまいと開発に拍車をかけ、試射も行っている兵器システムだ。

現存する軍事的脅威に対応するための朝鮮の自衛権次元の行動は、すべて「挑発」と断定し、自らの軍備増強は「対北朝鮮抑止力」を口実にして合理化する二重基準は非論理的な主張であり、朝鮮の自主権に対する露骨な無視、挑戦である。

バイデン政権は朝鮮に対する「外交的関与」と「前提条件のない対話」を主張しているが、実際には防衛力強化という主権国家の権利を否定し、圧力と恐喝の方法で朝鮮の前途を遮ろうとしている。

しかし、朝鮮は、自ら立てたタイムスケジュールとロードマップに沿って防衛力を強化しており、これに関する計画は、米国が反対しても、制裁を科しても変更されることはない。それは過去の歴史が証明している。

大きな禍を招く愚策

軍事面で日増しに強大化する朝鮮の実体を認めることなく、旧態依然の敵対政策に固執することで、苦しい立場に置かれるのは米国だ。「強対強」の構図で朝米対決が激化していけば、バイデン政権はある時点で耐え難い禍を招くことになるだろう。

朝鮮の自衛権行使に対する制裁発動は最悪の一手だ。対話と外交を望むなら、まずは相手をありのまま直視し、その国の戦争抑止力が自国の脅威にならないようにする方法を考えるほうが有益だ。今、変わらなければならないのは朝鮮ではなく米国だ。

(金志永)