故・李実根会長追悼集発刊記念/朝被協で総会開かれる
2021年11月29日 09:03 文化新会長に金鎮湖氏
広島県朝鮮人被爆者協議会総会が11月19日、広島市留学生会館で行われた。
総会は、広島県朝鮮人被爆者協議会(朝被協)結成から45年を迎えた昨年に、朝鮮人被爆者支援の第一人者で、会長を務めていた李実根氏が逝去したことを受け、「故李実根会長追悼集発刊記念」と題して開催された。
総会には、総聯広島県本部の呂世珍委員長をはじめとする県下団体役員ら、広島の被爆7団体代表、秋葉忠則・前広島市長をはじめとする各界の著名人士や、李実根会長が生前親交のあったマスコミ関係者など56人が参加。総会当日は、感染対策の一環として参加人数が制限された。
総会ではまず、故人を悼み、朝被協の李憲伯副会長と広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長が遺影に献花を行い、参加者全員が黙祷をささげた。
主催者を代表しあいさつした李憲伯副会長は、「結成以来、日本政府による在日同胞と朝鮮人被爆者への差別政策に屈することなく活動を繰り広げ、日本の各界人士との対外活動を強化する過程で多くの団体や個人から支持を獲得してきた。また1990年以降、朝鮮で暮らす被爆者にも日本の被爆者援護法を適用させる運動を展開し、広島県医師団の理事をはじめとする各界の日本人士らが朝鮮を訪問するなど、支援や調査事業を実施するために忍耐強く活動を繰り広げた」と故人を偲びながら、参列者へ謝辞を述べた。
つづいて、NHK広島放送局ディレクターの大小田さわこさんらの尽力により作成された11分間にわたる記念映像が上映された後、来賓あいさつがあった。
元広島市長の秋葉忠利さんは、在日同胞たちへの被爆者援護法の適用や在朝被爆者の救済に対する姿から、故人が「異質の共生を目指していた」と昨日のことのように語った。
また浄土真宗本願寺派僧侶の吉川徹忍さんは、戦中に広島県北部の山間、高暮ダム建設に伴い、強制労働で犠牲になった朝鮮半島出身の同胞たちの御霊を慰める慰恨碑建立に尽力した故人の姿について克明に語った。
フオーラム平和・人権・環境の福山真却顧問からのメッセージが紹介された後、遺族を代表して故人の長男であり、広島県商工会会長である李英一さんが謝辞を述べた。
李英一さんは、生涯5000回以上行った講演会の最後の場所が、民族教育の最高学府である朝鮮大学校であったと喜んでいた故人に思いを馳せながら、現在朝大の連合同窓会会長を自身が務めていることに縁故を感じると言及。そのうえで朝被協をはじめとする協力者や参加者たちに感謝の意を伝えた。
総会では、この日に先立って開催された朝被協理事会について総聯本部の呂世珍委員長が報告し、新役員を発表した。新会長には、これまで朝被協理事長を務めてきた金鎮湖さんが就任した。
新体制の発表に伴い、あいさつを行った広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之理事長は、11月24日に逝去された同協議会の坪井直前理事長と親交のあった故人の意思を継ぎ、両団体の間で一層連帯を深めていこうと呼びかけた。
最後に、新役員を代表し金鎮湖会長から発言があった。
金会長は、前会長の逝去後、今回の総会準備に約1年の時間を要したことや、協力してくれたすべての方々に謝辞を伝えながら「超高齢化が進む被爆者らの支援を2世、3世が引き継いでいけるよう努力する」と決意を表しながら、総会を締めくくった。
一方でこの日、総会を記念して広島朝鮮学園へ金一封が寄贈された。
故・李実根会長の追悼集は、今後、関係団体や個人へ寄贈されるほか、購入希望者には千円(送料込)で発売される。また同追悼集の販売収益はすべて広島朝鮮学園に寄付される。
【広島県朝鮮人被爆者協議会】
「故・李実根会長追悼集」
注文・問合せ先=広島朝鮮初中高級学校教育会
082-261-0028または070-5303-4673(李)
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