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短編小説「春の農村にやってきた青年」8/千世鳳

2021年11月03日 08:39 短編小説

「おれがかい? おれにゃ、とてもそんな器用なまねはできねえさ」

これを聞いたチベギは、声を出して笑った。

「そうじゃないんですよ。おじさん! 手っ取りばやいってのはね、なんのことはない、はじめっからモミを田んぼにじか撒きすれば手っ取りばやいわけでしょう? じか撒きを知らないんですか? 器用もへったくれもないですよ。そりゃあ、私もいたって不器用なほうなんですけど」

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