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【寄稿】“福岡初級の子どもたちにお芝居を届けたい”/深水登志子

2021年11月11日 09:00 寄稿

「共感」を力に

10月20日、日本人の有志らが中心となり、劇団石(トル)による公演「カンアジトン(こいぬのうんち)」が、福岡初級の体育館で行われた。この企画は、公演に先立ち今年夏に展開されたクラウドファンディングを通じ、たくさんの支援が寄せられたことで成立した。実行委員の一人、深水登志子さんの寄稿を紹介する。

出会いは沖縄

夢のような1週間だった。構想3年・準備2年をかけて劇団石を福岡に招き、3つの公演を開催することができたのだ。

2013年。当時、私が移住していた沖縄北部の高江まで、米軍ヘリパッド建設反対の座り込みをするために劇団石主宰でひとり芝居の演者でもあるきむ・きがんが訪れたことに始まる。私にとってその出会いは、沖縄と「在日」 の問題がよく似ているということに気づかされるきっかけとなった。

きむ・きがんと出会うきっかけとなった沖縄

「不平等・不公平・理不尽」な状況に置かれ続ける。人としての人道上の問題であっても政治の問題として捉えられ、当事者理解が広まらない。無知や偏見が社会の根底に横たわり、なかなか実態というものが見えてこない。

恒常的な差別が社会構造の中に組み込まれているこの国の有り様が、高江からだとよく見渡すことができた。

まずは知ることから

親の介護で地元福岡に戻った私は、福岡に朝鮮学校があると聞き、まずは自分が飛び込んでいくことから始めた。沖縄にも「在日」にも共通する「課題」に対する取り組みとして、私にできることの最初の一歩は、朝鮮学校と劇団石を結びつけることだった。

私がきむ・きがんと出会って以降、劇団石のお芝居を観に行ったある日のこと。

私はかのじょのお芝居を観て、心が震えた。そしてその時、難しい説明や政治的な議論ではなく、芝居という芸術の力によって、人の心が動かされることに確信を持った。

関心を寄せる人が限られていて、なかなか広がらないという「課題」を、「お芝居」という切り口だったら克服できるかもしれない―。

人と人とが顔の見える関係になれば、自ずと人は動くという思いから、私は、ただ劇団石の公演を催すのではなく、同じ福岡で暮らす在日コリアンの方々の存在を知ってもらう機会になるように、結びつけたいと思った。

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