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短編小説「幸福」26/石潤基

2021年10月04日 08:12 文化・歴史

そこへもってきて患者の呼吸はしだいに乱れてきた。危険がもっと迫ってきたのだ。まったく、その白い、一本の糸が、人類が2千年以上の間、物質が先か、意識が先かで争ってきた、まさにその哲学的な化け物ではないか? それが切れてしまえば、もう勝載という人間はこの世に存在しなくなるのだ。僕は絶望のあまり、思わず心の中で叫んだ。

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