〈関東大震災98周年追悼式典〉埼玉・常泉寺
2021年09月02日 11:07 歴史 特集過去に学び反省を
関東大震災後に発生した朝鮮人虐殺の犠牲者を追悼する式典が1日、埼玉県さいたま市と北部地域の各地で行われた。
関東大震災98周年同胞犠牲者大宮慰霊祭が1日、常泉寺(さいたま市)で執り行われた。新型コロナウイルスの影響で関係者のみの参加となった今年の慰霊祭には、主催である総聯埼玉中部支部の姜明虎委員長をはじめとする活動家、同胞ら約10人が参加した。
常泉寺には1923年の震災当時に大宮の地で犠牲になった姜大興さんの慰霊碑がある。
震災直後「朝鮮人が暴動を起こした」などの流言飛語が広まり、日本の内務省は「朝鮮人暴動」に対する厳重な警戒を各県知事に指示。その結果各地では自警団が結成されていった。
埼玉には、東京から避難してきたり自警団を恐れて多数の同胞が逃げてきた。姜大興さんもそのうちの一人だった。自警団に捕まり竹槍や日本刀などで暴行を受け、9月4日、23歳の若さで無念な死を遂げた。
事件直後、朝鮮人犠牲者を供養するため地域の日本市民たちが常泉寺に姜大興さんの墓を建てた。2001年には慰霊碑も建立された。以来、姜さんはじめ埼玉地域で犠牲になった約240人の朝鮮人犠牲者を供養する追悼式が行われている。
慰霊祭では、虐殺された同胞犠牲者を偲び参加者全員が黙とうをささげ、慰霊碑に焼香した。感染症対策の観点から追悼文は書面を配布するかたちで共有された。
追悼文は、犠牲者たちに哀悼の意を示しながら依然として猛威を振るう新型コロナに加え民族差別政策に現在まで苦しめられている同胞社会の現状を言及。そのうえで、祖国の統一を成し遂げ、同胞たちの正当な権利を勝ち取るために、在日朝鮮人運動により拍車をかけていく決意を表明した。
(金紗栄)