短編小説「幸福」7/石潤基
2021年08月09日 10:02 文化・歴史実習教員である僕の学生たちに、またこのような質問に当然、責任をもって答えてやらねばならなかったが、実際のところ、僕には何の用意もできていない始末だった。だから僕が、臨床患者を求めて、とくに傷痍軍人が集結しているところを希望して、Bに赴いたのは当然だったが、一面、科学の権威と厳格さからの逃避ともいえよう。このほかにも、いま一つは、正直なところ、僕も人間である以上、死んだ家族に対する感情が全然なかったとはいえない。だが、きみが信じてくれるかどうかはわからないが、それは、苦痛よりもかえって僕に、ずっと大きな力を与えてくれたのだ。恨みを晴らさなければならないではないか?! 僕の家族と、僕の戦友たちを奪っていった奴らに、あのヤンキーどもに、百倍、千倍にして復讐しなければならないではないか?!