短編小説「道づれ」14/キム・ビョンフン
2021年07月03日 11:49 文化・歴史「なあに、別に急用でもないんだよ……」
私はあまりにも彼女が恐縮しているので、安心させるために何か適当なことばをみつけようと努めたが、なかなかもっともらしいことばが浮かんでこなかった。
彼女は包をほどいて中からゆでた家鴨の卵をとりだすと、白身はよけて黄身だけこまかくくずし、それを缶の上からまいてやりながら私にきいた。
「なあに、別に急用でもないんだよ……」
私はあまりにも彼女が恐縮しているので、安心させるために何か適当なことばをみつけようと努めたが、なかなかもっともらしいことばが浮かんでこなかった。
彼女は包をほどいて中からゆでた家鴨の卵をとりだすと、白身はよけて黄身だけこまかくくずし、それを缶の上からまいてやりながら私にきいた。