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〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 31〉二人の元戦犯を重ねて考える/古山高麗雄②

2021年04月12日 07:00 寄稿

「二十三の戦争短編小説」(文芸春秋 2001)。「プレオ―8の夜明け」「白い田圃」「蟻の自由」「セミの追憶」などを収録

古山高麗雄について読み直しこの文章を書いているさなかの3月28日、李鶴来さんの訃報に接した。第2次世界大戦の戦犯裁判でBC級戦犯として一度は死刑を宣告され、有期刑に減刑された後、1956年に仮釈放された李さん。日本政府に謝罪と補償を求め続けた。朝鮮半島出身で日本に残る元戦犯として最後の一人だった。

「日本人」軍属として侵略戦争に加担させられ、敗戦後は「日本人」からはじかれた李さん。かたや同じく捕虜監視兵として有罪判決を受けるも、「運よく」(!?)釈放され無罪放免、日本へ復員した古山の存在を重ねてみる。日本軍は、捕虜と直に接する監視員として朝鮮人や台湾人を充てることが多かった事実を、古山自身いくつかの作品中でわずかに言及している。

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