〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 27〉操作され正当化される「記憶」/後藤明生②
2020年11月29日 07:00 寄稿後藤明生という名前すら今ではほとんど忘れ去られてしまっている感があるが、代表作である「挟み撃ち」(1973年)へとテーマ、内容とも継承される「一通の長い母親からの手紙」という作品がある。後藤明生の特徴とともに、60年代の「政治の季節」から距離を置いた「内向の世代」に名を連ねた後藤の、植民地朝鮮での体験にまつわる記憶のあり方、とらえ方およびその問題性も端的に示すテクストとして注目したい。