〈広島無償化裁判〉子どもが堂々と生きれる社会を/広島朝鮮学園が声明
2020年10月16日 15:03 民族教育国が朝鮮学校を無償化の対象にしなかったのは違法だとして、広島朝鮮初中高級学校を運営する学校法人広島朝鮮学園および同校卒業生ら109人が原告となり、国に対し不指定処分処分の取り消しや損害賠償を求めた訴訟で、広島高裁は16日、一審の地裁判決を支持し、国の判断を「適法」とする不当判決を下した。これと関連し同日、広島朝鮮学園が声明を発表した。以下、声明全文。
声明
本日の判決を受け、大きな怒りがこみあがります。
広島朝鮮学園ならびに109名の原告となった元生徒は足掛け8年、「高校無償化」の適用を求めて日本国政府という大きな存在を相手に闘ってきました。
2013年8月1日の地裁提訴から始まり、2017年7月19日の不当判決、2018年8月1日高裁へ控訴、その間合計26回に及ぶ口頭弁論を経て本日を迎えることとなりました。
この間、私たちは朝鮮学校の生徒たちだけが高校無償化制度から除外されている現実を怒りと悲しみを持って受け止め、それを必ずや正すことに心血を注いできました。
世界の子どもたちが享有してしかるべき学習権を冒され、自らのルーツを学ぶという基本的人権を冒されるという国家による差別は多文化共生のための歩みに逆行するものであり、到底容認することはできないものです。
国家による差別にさらされた当事者である朝鮮学校の高校生はその重たい現実を肌で感じつつも決してめげることなくこの間、闘ってきました。
勉学やクラブ活動、友だちとの語らいに費やされるはずの多くの時間を街頭に立ち、みずからが声を上げこの現実の不当性を力強く訴えてきました。
一枚のビラを受け取ってもらうために何度声を張り上げたかわかりません。叫んだ声が届くことだけを信じて何度も声をあげ続けてきました。
悔しさを胸に巣立っていった朝鮮高級学校の数多くの卒業生たちの無念はいかほどだったでしょうか。
私たちは本日の広島朝鮮学園および原告卒業生たちの請求を棄却した広島高等裁判所の判決に強い憤りを覚え、怒りに震えています。決して受け入れられない判決です。
国や行政が率先して反朝鮮学校・反民族教育の旗頭となり、世の中にはヘイトスピーチ、ヘイトクライムがはびこるような社会が作られようとしています。三権分立がなされた法治国家であり先進国を謳うこの国において、法の下においても朝鮮学校を高校無償化から除外することを是認するとしたらいったい法律とは何を守るための秩序なのでしょうか。
人権をないがしろにした法律とはいったい何のために存在するのでしょうか。
朝鮮学校だけを公的助成制度から排除することは、民族教育の権利を否定するばかりでなく、在日朝鮮人は差別をされて然るべき存在であり、ひいては国の意に沿わないものは差別をしてもよいという風潮を国が煽ることにほかなりません。なぜ自らのルーツを学ぶことがこのような形で否定されなければならないのでしょうか。
朝鮮学校に通う生徒は、日本国では学ぶ権利が保障されず、生きてはいけない国になってしまったのでしょうか。
広島朝鮮学園は今回の不当判決に激しい怒りを持って強く抗議します。速やかに上告し最後まで、勝利のその日まで闘い続けます。
未来は必ず希望に満ちていると子どもたちに伝えるために、なんびとも学ぶ権利、出自に関係なく堂々と社会で生きていける世界のために闘い続けます。
これからもみなさまのご支援をよろしくお願いいたします。
2020年10月16日
学校法人 広島朝鮮学園