〈World Opinion〉大統領選は寡頭政治の始まり/戦略的文化財団
2020年02月29日 11:07 対外・国際ブルームバーグ出馬の意味
グローバル情報サイト、戦略的文化財団(Strategic Culture Foundation)は2月20日、「ブルームバーグの大統領選参入で米国の寡頭政治が始まる」と題する記事を載せた。以下は要旨。
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米国は長い間、2大政党制が選挙の戦線として機能してきたが、それはいかに巨額な資金が米国の政治を買収しているかという現実を隠ぺいするためであった。だがメディア王マイク・ブルームバーグ氏が大統領選に出馬することで、「決着がつくまで殴り合う」という米国の「民主主義」の本質が見えてきた。政党は今や明らかに意味のないものとなった。
個人資産が推定6百億$(約6兆6千億円)というブルームバーグ氏は、最も裕福な米国人の一人と見なされている。
トランプ氏の「大衆の味方」になるという以前の公約は、きつい冗談だった。彼は米国エスタブリッシュメントの腐敗政治を解決するために何もしなかった。
ブルームバーグ氏が最終的に民主党の大統領候補に選出されるとなると、トランプ氏とともに億万長者同士が見せかけの大接戦を演じることになる。
米国の民主主義は瀕死の状態にある。むしろ、出費を競い合って票を勝ち取ろうとする大富豪同士のディストピア(暗黒境)的競合へとさらに発展したかのようだ。
国民に対する権力の行使において、様々な手続きを経てわざわざ公式的な投票を行う必要性がなくなるのは全く時間の問題である。
ブルームバーグ氏が有力な民主党候補になれた理由は支持率の高さにあるが、それは彼がテレビ、ラジオやデジタル広告など選挙戦で4億$をつぎこんだ結果だ。そのため、彼はその他の民主党候補たちから「選挙を買収」しようとしていると非難されている。その通りかも知れない。職業的政治家たちがイライラしているのは、おそらく彼らは失業してしまい、大金持ちの召使いに成り下がるということに気がついたからであろう。
ニューヨークタイムズによると「ブルームバーグ氏は慈善・政治活動などにこれまで少なくとも100億$は費やしてきた。それは単に彼の善意ではなかった」。
簡単にいうと、政党は買収されたのである。それは明らかに、寡頭制の支配者が自分の政治的財産を獲得する手段となっただけでなく、米国の巨大な富の寡占体制全体を強化することにつながる。
ヒラリー・クリントンは16年に大統領選挙に出馬したが、彼女のウォールストリートや大企業との癒着関係を巡って有権者から嫌われたために当選しなかった。
ところが、そのような腐敗が今や、寡占的支配者が代理人を経ずして政治の舞台に躍り出つつある。彼は共和党にもニューヨーク市長時代に築いた地盤がある。今回は、上層部も掌握済みの民主党を金とメディアで従属させることでホワイトハウスへの道筋をつけようとしているのである。
(朝鮮新報)