〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 20〉朝鮮支配の「制服」をまとった者/安部公房①
2020年02月26日 14:59 寄稿元旦に放映されたNHK・Eテレのスペシャル番組「100分deナショナリズム」にて、漫画家のヤマザキマリさんが安部公房の小説「方舟さくら丸」(1984年)を紹介していて、にわかに話題となった。放送後Amazonの文芸部門でこの作品が売り上げ1位になったそうだが、司会の稲垣吾郎や他の論者はともかく、この作品についての紹介を興味深く観た。選民と排除の思想からなるナショナリズムや、その虚偽性(「サクラ=偽物」)、「ほうき隊」と呼ばれる排除集団の恐ろしさなど、現在の日本社会の有り様が、なるほど透けて見える。