〈本の紹介〉フォト・ドキュメンタリー 朝鮮に渡った「日本人妻」―60年の記憶/林典子著
2019年09月02日 13:19 文化不可視化された存在の証明
1960年4月8日、新潟港。祖国への憧れ、家族との離別、在日朝鮮人らの悲喜こもごもを満載した帰国船の一室で、皆川光子さんは娘の出発を泣きながら制止しようとした母のことを思っていた。このとき、母の姿を見るのはこれが最後になるなど思ってもいなかった。それから60年。高齢となった今もなお、光子さんは朝鮮に暮らす。故国日本と朝鮮の自由な往来を願いながら―。