第41回医協学術報告会
2018年12月06日 11:19 権利「同胞医療・福祉の過去、現在、未来」
11月18日、大阪上本町ホテルアウィーナ大阪にて第41回医協学術報告会が行われ170人の同胞医師をはじめとした医療人、介護従事者、医療を専攻する同胞学生が集った。
開会式で医協中央南洋二会長(今池南クリニック 院長)は、歴史的な北南朝鮮の情勢に触れながら昨年40周年を迎えた医協がさらに同胞医療の理念を鮮明にし、同胞社会と祖国の医療支援に寄与する団体として発展するよう学術報告会の場での活発な討論を期待すると述べた。
全体会でのシンポジウムでは「同胞医療・福祉の過去、現在、未来」と題し、基調講演とパネルディスカッションが行われた。基調講演は辺秀俊氏(共和病院 院長、医協中央顧問)、崔相羽氏(三光クリニック前院長、医協中央顧問)、洪淳道氏(こう整形外科前院長、医協西日本顧問)の3人が登壇した。
辺秀俊氏は祖国解放後、在日同胞に医療保険が適用されず、満足に治療を受けられない現状をどうにかしようと、同胞医療人が立ち上がり共和病院を立ち上げたその後の50年の歴史を、映像とともに振り返った。辺秀俊氏は共和病院が地域医療活動を通じて朝・日友好親善の架け橋となり、祖国統一、祖国の医学・医療の発展へ寄与してきた軌跡とこれからも同胞医療の中心として活動していく決意を述べた。
崔相羽氏は開業以来、在日同胞に多かった肝臓病、胃癌についての臨床研究を行ってきた過程と在日同胞の症例の特異性についての自身の見解を述べた。
洪淳道氏は医協活動、同胞医療に尽力してきた医協初代会長、玄鐘完先生をはじめとする先代たちを偲び、同胞医療の原点について発言した。
パネルディスカッションは、さとう大氏(京都エルファ)、金順愛氏(コリアンネットあいち)、金石哲氏(共和病院 整形外科医師)の3人が登壇、それぞれの現場での取り組みについて触れながらこれからの同胞医療・福祉の課題について討論した。昨年、40周年を迎えた在日本朝鮮人医学協会が自身の歴史を振り返りながら同胞医療の未来を切り拓く示唆に富んだシンポジウムとなった。
また、全体会では訪問看護師の李英子氏(医協東日本 看護部会会長)、が30年以上に渡って茨城初中高をはじめとした各朝鮮学校で行ってきた保健授業の経験を踏まえ性教育の重要性について述べた。
午前中はそれぞれ分科会が行われ、医科、歯科、薬学、看護、放射線・検査、柔整鍼灸理療、介護、学校保健分科の9分科で演題発表や勉強会が行われた。演題は全部で25題が発表された。
参加した若手同胞医師は「他地域で活躍される先生方の発表を拝聴できとても勉強になり、今後の学習意欲が高まったと同時に同胞医療について考える良い機会となった。」と感想を語った。
また、前日にはスイスホテルにて前夜懇親会が催され、120人以上の同胞医療人が交流を深めた。
来年は11月10日(日)に東京で開催予定。【医協中央】