〈本の紹介〉1945,鉄原/イ・ヒョン著
2018年05月15日 11:27 文化解放朝鮮の止まった夢
舞台は朝鮮半島のほぼ真ん中、そう、DMZの目と鼻の先に位置する街、江原道鉄原郡。物語は1945年8月の「解放」から2年間、鉄原の人びとの間で繰り広げられた「非日常的な日常」のほんの一部を描く。
解放と共に訪れた新時代。46年3月、北朝鮮臨時人民委員会が施行した土地改革法令は「持たぬ者」には甘い期待に、「持つ者」には辛酸のような耐え難い苦痛となり、それぞれの暮らしに根を張っていく。
親日/反日、両班/奴婢、地主/小作人…入り混じる立場と階級と自らの心に翻弄される若者たち。それぞれの葛藤にゆれる気持ちをつなぎとめたものは――。