セリエA在籍、ハン・グァンソン選手の素顔
2017年05月08日 14:03 スポーツ 共和国「勝利に貪欲」「天賦の才」
【平壌発=金淑美】イタリアのプロサッカーリーグ1部・セリエAで、デビュー2戦目にして初ゴールを叩き出し、その存在感を示した朝鮮のハン・グァンソン選手(18)。彗星の如く現れた期待のストライカーはいかに生まれ育ったのか、その素顔を探るべく、ハン選手の母親や平壌の関係者らを訪ねた。
“サッカー一家”に生まれ
1998年9月、平壌で生まれ、2013年5月、サッカーアカデミーである平壌国際サッカー学校(以下、サッカー学校)の開校と同時に一期生として同校に入学。同年9月、同校初の海外留学生としてスペインへ。以来、平壌とヨーロッパを行き来しながらスペインやイタリアのチームに留学し、今年3月、セリエAのカリアリの契約をつかみ取った。朝鮮の選手のセリエA在籍は史上初だ。
両親ともに国内屈指のクラブチームである鯉明水体育団の元サッカー選手で、父は現在も国内クラブチームの監督という“サッカー一家”に生まれるも、当初、両親の期待はサッカーとは別の方向に向いていた。ハン選手の母、チョン・ソンフィさん(48歳)は言う。
「小さい頃から頭が良く、学校の先生の助言もあり、親としては学問の道に進ませようと思っていた。でもボールを蹴らせたら、教えてもいないのに足にボールが吸い付くというか、学校の子どもたちの中でも際立っていた。7歳頃だったと思う」
寝ても覚めてもサッカーで頭がいっぱいだったという。食事中も、部屋で寝転んでいても、口を開けばサッカーのことばかり。「あぁ、サッカーの第一人者にならなくちゃ」「成功しなきゃいけないのに…」。口癖のように話した。
「天性の負けず嫌い」。ソンフィさんはそう話した。サッカーの試合だけでなく友達とのトランプゲームなど、どんなに小さな遊びでも負ければ悔しいと泣いた。食事もとらずに泣いた。
「他の子どもたちと比べて、絶対に負けたくないという野心がある。先天的に勝つことに貪欲で、目標はいつも高く掲げていた」(ソンフィさん)
サッカー学校のチャン・スンドク校長(57)も、「巧みなボールさばき、俊敏な判断力、フォワードとしての天賦の才があった。その才能は、わが校から初めて海外に派遣した14人の中でも抜きん出ていた」と振り返る。