〈東北初中ハッキョ便り 3〉自然いっぱい、東北ハッキョ
2015年07月24日 15:41 民族教育「東北はわざわざキャンプに行く必要ないんじゃないの?」と、あるハッキョの先生が言った。初めて東北ハッキョを訪問した彼が、東北ハッキョの持つ「秘密根拠地」のような独特な雰囲気の中で、思わず発した言葉だった。
「失礼な! 東北もちゃんと校外のキャンプに行きますよ。校内キャンプで練習してね」
「校内でキャンプをするんですか?」
「炊事も肝試しもキャンプファイヤーもやります。昔はテントも張ってました」
3万坪=東京ドーム2個分の敷地を持つ東北ハッキョは、ウリハッキョの中でダントツの広さを誇る。ハッキョは八木山のてっぺんにある。この地域は、100万都市仙台の中心から5キロメートル圏内にありながら、さまざまな理由により開発から取り残された。周りに民家はない。震災前に二軒だけあった民家は被災して、いまは空き地だ。周りを深い谷と森林に囲まれた校地では、運が良ければカモシカやタヌキに出会え、木々をすみかにするウグイスやヒヨドリ、カッコウ、セキレイなどの野鳥の観察もできる。タラの芽、コシアブラなどの山菜やタケノコ採り、カブトムシやクワガタのなどの昆虫採集、オタマジャクシすくいを体験したり、木登りや秘密基地作り、野外炊事、キャンプファイヤーを楽しんだり、そり滑りをしたり、なんと化石の発掘までできるのだ。しかもすべて校内で。
1世のトンポたちは1965年にこの地を選び、ハッキョを自力で建てた。なぜこれほどの広大な敷地を求めたのだろう。それは東北6県のたくさんの子どもたちが、のびのびと学べるように、との願いがあったからではないだろうか。
それから50年が経ち2000人を超える学生たちが、ウリハッキョを巣立っていった。今は、1世たちと卒業生たちの思いを受け継ぎ、4世となる子どもたちが、のびのびと学んでいる。このユニークな学びの環境をどう盛り上げていくか。これが今、東北ハッキョで働く私たちに与えられた課題である。
(玄唯哲、校長)
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