第18回ハングル書芸作品展「이어서(つなぐ)」/出展者たちの声
2014年05月15日 16:08 文化・歴史変わらない思いを胸に
5月9日から11日にかけて日本教育会館にある一ツ橋画廊で、在日本朝鮮文学芸術家同盟東京支部書芸部による第18回ハングル書芸作品展「이어서(つなぐ)」が行われた。千字文などの臨書はもちろんのこと、色彩豊かな紙に書かれた躍動感溢れる創作作品など個性豊かな作品が目立った。入口の脇には今回のテーマである「이어서(つなぐ)」をテーマにした合作が飾られた。合作では、伝統、代、希望などそれぞれが連想する「繋いでいきたいもの」を組み合わせて今年の干支である「午(馬)」という文字を表現した。
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作品には各自のさまざまな思いが込められている。趙明真さん(34)は祖国や同胞社会を主なテーマにしている。今回は「祖国賛歌」の歌詞をモチーフにした作品を出展した。「祖国や総聯が歩んでいこうとする方向を書芸という形で表現することによって、観る人も新しい感じ方ができるんじゃないかな」と自身の考えを述べる。書芸部に所属しながら、文芸同の舞踊部でも活動する高定順さんは表現者としての新しい喜びを感じたという。「舞踊が空間に絵を描くなら、書芸は文字で紙に絵を描くようなもの。どちらも呼吸が大事。この喜びや楽しさを後輩たちにも伝えていきたい」と笑みを浮かべた。
展示会には、多くの日本の人々も訪れた。姥貝荘一さん(64)は展示された作品を観て、ハングルは読めなくても文字のバランスや書体から美しさを感じるという。数年ぶりにハングル書芸展を観に来たという立柳聡さん(54)は、今回の書芸展について、「書体が多様なだけではなく、使っている紙などにも工夫を凝らしているところが、観る側の想像をかきたてる。新しい世代がどんどん育ってきているのを感じた」と語った。
書芸部メンバーのほとんどは幼い頃から書芸に親しんできた。しかし社会人になり、書芸を続けることは容易ではない。そんな中でも書芸展を継続して行ってきた背景には、その活動を内と外から支える人々がいた。第1回の書芸展から参加している金舜姫さんはこう語る。「それぞれ仕事や家庭がある中で活動するというのは簡単なことじゃない。でも毎年書芸展を楽しみにしてくれている友人たちがいるから、やり続けたいなって思う」。金さんたちが開催場所に困った時、手助けをしてくれたのも展示会を通して繋がった日本の友人たちだという。「今では私たちよりも熱心に宣伝をしてくれる」と語る金さん。会場では同胞や日本の友人たちと作品を見ながら語り合う微笑ましい光景が目に入った。
書芸部は「北と南の書体を使い、書芸を通して南北の統一ができれば」という思いから、姜民子さんが立ち上げた。メンバーの大半は姜さんの教え子だ。姜さんの精力的な活動が書芸部の存続を支えてきた。
現在10代から60代まで幅広い年代のメンバーが活動している。世代は変わっても変わらない思いを胸に、日本で朝鮮の文化を繋いでいく人々の姿がそこにはあった。
(金宥羅)