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【寄稿】「地球の裏側」で感じたこと/金賢一

2014年01月14日 13:18 朝鮮半島

「世界青年学生祭典」に参加して

「エクアドルに行く」と言うと、同僚や他のイルクン、両親から、知人、友人、携帯ショップの店員、果ては税関の職員まで、みなに驚かれた。

確かに私たちが住む日本からすると、「地球の裏側」である。そんな驚きの国・エクアドルに私は行ってきた。

もちろん、旅行で行ってきたわけではない。昨年12月7日から13日までエクアドルの首都・キトで行われた「世界青年学生祭典」に参加するために、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の青年代表として、またそこに属する在日同胞の代表3人の一員として行ってきたのである。

世界各国の青年代表たちと共に(右端が筆者)

世界各国の青年代表たちと共に(右端が筆者)

われわれは今回、平壌を出発して中国・北京へ。そこから13時間かけてオランダ・アムステルダムに向かい、18時間待機して、約11時間かけてエクアドルに到着した。まる二日がかりの長旅となった。

「世界青年学生祭典」と言えば、1989年に平壌で開催されたので、読者の中にも聞いたことがある方が少なくないかもしれない。

「世界青年学生祭典」は、「反帝・反戦・平和・親善・連帯」をスローガンに、世界民主青年連盟と国際学生連盟が開催する国際行事であり、1947年にプラハ(チェコスロバキア)で第1回大会が行われて以降、今年のキト祭典まで計18回行われた。

朝鮮は反帝国主義、反植民地主義、反人種主義を掲げる青年学生たちによる大会を大変重視しており、建国前の第1回大会(1947年)、朝鮮戦争中の第3回大会(1953年、東ベルリン)にも参加している(第11回のキューバ祭典のみ不参加)。

祖国の青年との3週間

朝鮮政府は毎回のように、在日同胞を祖国の青年たちとともに代表団の一員として加えてくれており、私自身もこれまで何度か先輩たちからその話を聞いたことがあった。

私にとって「世界青年学生祭典」は、朝鮮学校の初級部に通っていた1989年に平壌で第13回大会が行われたので、その印象が非常に強い。この平壌祭典は規模が史上最大と言われただけでなく、南朝鮮の学生運動家・林秀卿さんが参加したこともあり、内外で大きな反響を呼んだ。林秀卿さんが徒歩で板門店を超えたシーンが、今でも脳裏に焼きついている。

祖国の青年たちと共に過ごした

祖国の青年たちと共に過ごした

そのような歴史的な祭典に朝鮮代表の一員として参加できることはうれしくはあった反面、エクアドルについて何ら知識がなく、いろいろな不安もあった。

しかし、今回の祭典参加は、当初抱いていた不安を打ち消すだけでなく、私の人生にとってかけがえのない経験となった。

何よりも記憶に残っているのは、朝鮮代表の青年たちと過ごした日々だ。

これまで何度も祖国を訪問し、祖国の人々と出会ってきたが、3週間近く(17日間の日程)24時間寝食を共にしたのは初めてのこと。

しかし今回、共に移動し、行事に参加し、生活する過程で、本当に仲良くなり、時には虚心坦懐に話をする過程で、互いの距離が一挙に縮まった。

当たり前のことだが、彼・彼女らも私たちと同じ普通の青年だ(しかし日本でのあまりにもひどくて愚かな「北朝鮮」報道によりそれが当たり前と思われないのが残念で腹立たしいが)。代表には朝鮮青年同盟の幹部、職員から芸術団員、スポーツ選手、通訳の先生方、そして学生や普通の農場員らもいた。

会場は熱気に包まれていた

会場は熱気に包まれていた

ホテルや移動の飛行機、バスの中などでいろいろと話をしたが、何気ない冗談から仕事や学校の話、家族の話、恋愛の話など、その大半はとりとめもない内容だった。バレーボールをしたりお酒を飲んだりして、共に笑い、騒ぎ、楽しんだ。祖国の青年たちの人間性にふれ、非常に多くのことを感じることができた。

私より年下の青年同盟の活動家に、もともと希望していた将来の夢を聞いたところ、国を守るために軍隊に行きたかったということだった。また、去年ブラジルで行われた国際柔道大会の女子78㎏級で優勝したソル・ギョン選手も代表の一員だったが、スポーツを通して社会に貢献したいと熱く語っていた。

朝鮮への支持と連帯

また、世界の青年たちの姿からも大きな勇気を得た。

大会自体はもともと、旧社会主義圏を中心に行われていたこともあり、今では米国など「大国」と言われる国々の目もあるため、開催自体が容易ではないと聞いた。

しかし、この不条理がまかり通る時代に、反帝国主義、反植民地主義を堂々と掲げた大会に、1万人近い青年たちが集まったことに、私は大きな感動を覚えた。そして、彼・彼女らは何よりも朝鮮に大いなる支持と連帯を表明してくれた。反帝国主義や反植民地主義の声、朝鮮に対する支持と連帯は、日本ではなかなか感じることが出来ないが、大国の横暴を非難する声こそが世界の声の中心であり、日本の「反北朝鮮」の声こそ、「井の中の蛙」なのだとつくづく感じた。資本主義国家で語られる「国際社会」の声とは、米国を中心とした超大国の利益を代弁する声でしかないのだ。

世界の青年たちとともに、反帝国主義、反植民地主義の道で生きていこうと、改めて決心したエクアドルの旅であった。

(留学同中央副委員長)

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